晴海は新生活は嫌いではない。だが、1つだけどうしても嫌なことがある。
それは、自己紹介や新しい友達を作ることだ。私は人の前に立って話すことも、人に自分から話しかけるなんてと思っている。
高校に着き、クラスに入ってみると既に友達作りは始まっていた。晴海は逃げ出したくて仕方ない。
席に着いた瞬間先生が来てくれた。先生が来てくれたおかげで、誰とも話さずに話が進んでいった。そこで急に先生が、
「時間余ったし、自己紹介でもするか。」
を晴海は最初から3番目。早い方がいいのか、遅い方がいいのかいつも考えてしまう。話すことには変わりないかと思っていた。
私の前で沢山話している男の子がいた。その男の子の名前は玲翔というらしい。自己紹介なのにクラス中が笑っていた。この後やる晴海はまるで地獄だった。
そしてついに晴海の番が来てしまった。なんならずっと話して時間を使ってほしかった。
「初めまして。蒼井晴海です。これからよろしくお願いします。」
この短い文ですぐ終わらせた。

家に帰る途中に親友の真紀ちゃんに電話をかける。
「ちょっと聞いてほしいんだけど入学初日から最悪すぎた」
自己紹介のときのことを話す。真紀ちゃんは大爆笑していた。
「よりによってそんな人が前だったなんてついて無さすぎでしょ。笑」
「ほんとにその通りだよ。」
後ろから「ごめん」そんな声が聞こえて晴海は振り返る。そこには玲翔がいた。咄嗟に電話を切る。
「ごめんなさい、今の会話聞こえちゃいましたか？」
「うん、盗み聞きしちゃったし、なんかこっちこそごめん。」
何故か晴海は謝られた。
「なんで玲翔くんが謝るの、なんも悪くないよ。」
その日はそれだけで終わった。