さっぱりとした髪を拭きながら、今後のことを考える。とりあえず、眠れるかは分からないけど、九時までベッドに横になろう。
それから智歌に電話して、チケットのことを話す。
あとは一つ訊きたいことを訊いたら終わりだ。でも、その質問を言うのが恥ずかしくて、考えるだけで緊張してしまう。
俺は髪を乾かしてから、ベッドに横になった。ツアーが始まれば、この場所にもなかなか戻れなくなる。長旅になるけれど、嫌いじゃない。
手を目元にあてて、そっと目を閉じると窓から入ってくる光が遮断される。
そのまましていたら、以外にも意識が遠のいて気がついたら八時半になっていた。
やはり身体は疲れているらしく、中途半端に寝たせいか重く感じた。
首を軽く回して、肩をほぐして背筋を伸ばす。八時半は少し早すぎるかもしれないが、智歌に今から話せるかメッセージを打った。
これでダメなら、今度話せるのはいつになるだろう。できればすぐにでも伝えたかった。
その願いが叶ったのか、すぐに智歌から電話がかかって来た。
俺はすぐに通話ボタンを押して、耳にあてる。
「どうしたんだ? こんな朝早くに」
「ごめん。ちょっと午後だと時間がなくて」
正直に答えると、智歌がふっと淡い笑みを零したのが、電話から伝わってきた。俺のスケジュールがいっぱいなのを察しているのだろう。
「そうか。今から俺も用があるから、長くは話せないけどいいか?」
「あぁ。大丈夫だ。それでさ、頼みがあるんだけど」
ここで断られたらどうしようもないけれど、そんな不安はすぐに消え去った。智歌はすぐにその先を促して、俺の言葉を待っている。
「……ライブのチケットを二枚郵送で送るから」
「分かってる。深桜を連れてこいってことだろ。日付は?」
俺の言葉を遮って、淡々と智歌がつけたした。嫌がられると思っていただけに、相手からその言葉を聞くと何だか複雑な気分になる。
でも、これは智歌にしか頼めないことだ。だから俺は、はっきりとその日程を口にした。
「最終ライブの日」
「俺たちが生まれた村の県か」
「うん。大丈夫かな?」
「当たり前だろ」
その響きが、何だか心地いい。智歌も昔を懐かしんでいるかのような、穏やかな返事で同意してくれた。
「ありがとう」
素直に零れた言葉に、智歌はふうと息を漏らした。
それから智歌に電話して、チケットのことを話す。
あとは一つ訊きたいことを訊いたら終わりだ。でも、その質問を言うのが恥ずかしくて、考えるだけで緊張してしまう。
俺は髪を乾かしてから、ベッドに横になった。ツアーが始まれば、この場所にもなかなか戻れなくなる。長旅になるけれど、嫌いじゃない。
手を目元にあてて、そっと目を閉じると窓から入ってくる光が遮断される。
そのまましていたら、以外にも意識が遠のいて気がついたら八時半になっていた。
やはり身体は疲れているらしく、中途半端に寝たせいか重く感じた。
首を軽く回して、肩をほぐして背筋を伸ばす。八時半は少し早すぎるかもしれないが、智歌に今から話せるかメッセージを打った。
これでダメなら、今度話せるのはいつになるだろう。できればすぐにでも伝えたかった。
その願いが叶ったのか、すぐに智歌から電話がかかって来た。
俺はすぐに通話ボタンを押して、耳にあてる。
「どうしたんだ? こんな朝早くに」
「ごめん。ちょっと午後だと時間がなくて」
正直に答えると、智歌がふっと淡い笑みを零したのが、電話から伝わってきた。俺のスケジュールがいっぱいなのを察しているのだろう。
「そうか。今から俺も用があるから、長くは話せないけどいいか?」
「あぁ。大丈夫だ。それでさ、頼みがあるんだけど」
ここで断られたらどうしようもないけれど、そんな不安はすぐに消え去った。智歌はすぐにその先を促して、俺の言葉を待っている。
「……ライブのチケットを二枚郵送で送るから」
「分かってる。深桜を連れてこいってことだろ。日付は?」
俺の言葉を遮って、淡々と智歌がつけたした。嫌がられると思っていただけに、相手からその言葉を聞くと何だか複雑な気分になる。
でも、これは智歌にしか頼めないことだ。だから俺は、はっきりとその日程を口にした。
「最終ライブの日」
「俺たちが生まれた村の県か」
「うん。大丈夫かな?」
「当たり前だろ」
その響きが、何だか心地いい。智歌も昔を懐かしんでいるかのような、穏やかな返事で同意してくれた。
「ありがとう」
素直に零れた言葉に、智歌はふうと息を漏らした。