「じゃあ約束だよ。三人でまた会うって約束と、明後日、見送りに来てくれるっていう約束」
「あぁ約束だ」
俺たちは円陣を組むみたいに、三人で手を重ねて約束した。
でもその約束は叶わなかった。
全ては俺が、その約束を破る原因を作ったからだ。
その時、一抹の思いが巡らなければ、こんなことにはならなかった。それが後悔として、今も俺の心に縛りついている。
約束を交わした後、ちぃのために俺が創った曲を智歌が弾いた。その音は、今でも智歌を裏切った罪悪感からか、耳に残ってたまに虚しく響いてくる。
♭
「なぁ、ちぃ。明日の夕方さ。もしよかったらあの空き地まで来てくれないかな」
俺は智歌の家を後にして、すぐちぃにそう語りかけた。
「……たぶん夕方は、いろいろ忙しいから無理だと思うけど……お昼じゃダメかな? もし行けたら行くから。チカにもカナにも会いたいもん」
にっこり微笑む彼女のように、俺はなぜか笑えなかった。
それは何より智歌の名前が出たからだ。俺はちぃと二人で話がしたかったのだ。
告白なんてするつもりはなかった。だいたいその時の俺には、ちぃのことが好きだなんていう自覚がなかったからだ。
何を話せばいいのかも決めていないのに、ただ二人で話したいなんて思っただけなのだ。
「じゃあ待ってるから。智歌には俺から言っとく」
たぶんこの嘘が、全ての始まりだったのだろう。
「うん。わかった。じゃあできるだけ出てこれるように頑張る。じゃあまたね」
智歌の家からすぐ近くにある俺の家の前で、手を振って去っていく後ろ姿が、彼女の最期の姿になるなんて思いもしなかった。
俺は次の朝早くに、電話で適当に智歌に言い訳して、今日は遊べないことを伝え、昼過ぎに一人で空き地に向かった。
何を話そうかといろいろ朝から考えていたら、いつの間にか昼間を過ぎて、大分時間がたってしまった。
結局、何を話すかなんてまだ決まっていない。
それでも俺は「ちぃが来ているかもしれない」と思って、走って空地へと向かった。
ただ智歌に黙ってちぃに会うのは、やはりどこか気が重い。
智歌に対しての罪悪感が空き地に近づく度に募っていって、変な緊張感が、鼓動を高鳴らせた。
それでもちぃに会いたくて、いつもの道を走り抜け、あの石段傍の地蔵が見えてきた。
でも、俺は途中から速度を落とし、地蔵よりも手前で足を止めた。
「あぁ約束だ」
俺たちは円陣を組むみたいに、三人で手を重ねて約束した。
でもその約束は叶わなかった。
全ては俺が、その約束を破る原因を作ったからだ。
その時、一抹の思いが巡らなければ、こんなことにはならなかった。それが後悔として、今も俺の心に縛りついている。
約束を交わした後、ちぃのために俺が創った曲を智歌が弾いた。その音は、今でも智歌を裏切った罪悪感からか、耳に残ってたまに虚しく響いてくる。
♭
「なぁ、ちぃ。明日の夕方さ。もしよかったらあの空き地まで来てくれないかな」
俺は智歌の家を後にして、すぐちぃにそう語りかけた。
「……たぶん夕方は、いろいろ忙しいから無理だと思うけど……お昼じゃダメかな? もし行けたら行くから。チカにもカナにも会いたいもん」
にっこり微笑む彼女のように、俺はなぜか笑えなかった。
それは何より智歌の名前が出たからだ。俺はちぃと二人で話がしたかったのだ。
告白なんてするつもりはなかった。だいたいその時の俺には、ちぃのことが好きだなんていう自覚がなかったからだ。
何を話せばいいのかも決めていないのに、ただ二人で話したいなんて思っただけなのだ。
「じゃあ待ってるから。智歌には俺から言っとく」
たぶんこの嘘が、全ての始まりだったのだろう。
「うん。わかった。じゃあできるだけ出てこれるように頑張る。じゃあまたね」
智歌の家からすぐ近くにある俺の家の前で、手を振って去っていく後ろ姿が、彼女の最期の姿になるなんて思いもしなかった。
俺は次の朝早くに、電話で適当に智歌に言い訳して、今日は遊べないことを伝え、昼過ぎに一人で空き地に向かった。
何を話そうかといろいろ朝から考えていたら、いつの間にか昼間を過ぎて、大分時間がたってしまった。
結局、何を話すかなんてまだ決まっていない。
それでも俺は「ちぃが来ているかもしれない」と思って、走って空地へと向かった。
ただ智歌に黙ってちぃに会うのは、やはりどこか気が重い。
智歌に対しての罪悪感が空き地に近づく度に募っていって、変な緊張感が、鼓動を高鳴らせた。
それでもちぃに会いたくて、いつもの道を走り抜け、あの石段傍の地蔵が見えてきた。
でも、俺は途中から速度を落とし、地蔵よりも手前で足を止めた。
