後から知ったことだけれど、再会した日に、先輩のスマホに来たメッセージは、先輩の彼女からだった。大人っぽくて、かっこいい先輩はこの頃から女子に人気で、何人も彼女がいるって噂もあった。
でもそんなこと先輩に訊ける訳もない。ただ私は、先輩の音を聴いたり、話したりできるだけでよかったからだ。
でもそんな私が気にいらなかったらしく、一度先輩の彼女から呼び出されて、「あんたは智歌の何なんだ」と言われ、別れ際に足をひっかけられて、軽く膝を怪我したことがあった。
その人が言うように、私は智歌先輩の何なのだろう。そう言われて、初めてそう思った。
ただの後輩? 単なる幼い頃の知り合い?
そんな疑問が頭の中で飛び交い、私は先輩に何もしてあげていないという答えに辿りついた。曲を弾いてもらっているのに、先輩の役に私はたってない。
先輩の彼女の気持ちを考えれば、彼氏が他の女と話してるのが、気に食わないのは私にでも分かる。
でも分かっていても何だか悔しくて、先輩が遠くに行ったみたいで悲しかった。自分の存在が先輩にとってはちっぽけな存在な感じがして、自分だけ先輩のことを身近に感じて馬鹿みたいだ。
私が先輩の隣りにいたら、きっと先輩に迷惑がかかるし、彼女にも嫌な思いをさせてしまう。だったらもう先輩から距離をとるしかないだろう。
正直そんなことはしたくないけれど、先輩にはもう会わない方がいい。それを放課後、言いに行こうとしたとき、修羅場を目撃してしまった。
いつものように誰がいるかをドアの窓ガラスから見ようとした時、何かはたくような音の後に、机が微かにずれる低い音が中から聞こえて、身体がビクッと震えた。
何が起こったのか分からず、自然と鼓動が高鳴った。
私は中から聞こえたその音が気になって、窓ガラスを覗いた。そこにはやはり机にもたれるように立つ先輩と、彼女が向き合っていた。
「あなたはいつもそうよ。もういい。さよなら」
叫ぶような彼女の声に先輩は何も答えず、机に手を預けてもたれたままだった。それを見た彼女は前髪で顔を隠すように俯いて、すごい勢いでこちらに近づいてきた。
私は見つからないように、慌てて階段を駆け下り、近くのトイレに逃げ込み、身をひそめた。
でもその彼女も私のいるトイレに入ってきて、私の隣りのトイレに入ると勢いよくドアを閉めた。
でもそんなこと先輩に訊ける訳もない。ただ私は、先輩の音を聴いたり、話したりできるだけでよかったからだ。
でもそんな私が気にいらなかったらしく、一度先輩の彼女から呼び出されて、「あんたは智歌の何なんだ」と言われ、別れ際に足をひっかけられて、軽く膝を怪我したことがあった。
その人が言うように、私は智歌先輩の何なのだろう。そう言われて、初めてそう思った。
ただの後輩? 単なる幼い頃の知り合い?
そんな疑問が頭の中で飛び交い、私は先輩に何もしてあげていないという答えに辿りついた。曲を弾いてもらっているのに、先輩の役に私はたってない。
先輩の彼女の気持ちを考えれば、彼氏が他の女と話してるのが、気に食わないのは私にでも分かる。
でも分かっていても何だか悔しくて、先輩が遠くに行ったみたいで悲しかった。自分の存在が先輩にとってはちっぽけな存在な感じがして、自分だけ先輩のことを身近に感じて馬鹿みたいだ。
私が先輩の隣りにいたら、きっと先輩に迷惑がかかるし、彼女にも嫌な思いをさせてしまう。だったらもう先輩から距離をとるしかないだろう。
正直そんなことはしたくないけれど、先輩にはもう会わない方がいい。それを放課後、言いに行こうとしたとき、修羅場を目撃してしまった。
いつものように誰がいるかをドアの窓ガラスから見ようとした時、何かはたくような音の後に、机が微かにずれる低い音が中から聞こえて、身体がビクッと震えた。
何が起こったのか分からず、自然と鼓動が高鳴った。
私は中から聞こえたその音が気になって、窓ガラスを覗いた。そこにはやはり机にもたれるように立つ先輩と、彼女が向き合っていた。
「あなたはいつもそうよ。もういい。さよなら」
叫ぶような彼女の声に先輩は何も答えず、机に手を預けてもたれたままだった。それを見た彼女は前髪で顔を隠すように俯いて、すごい勢いでこちらに近づいてきた。
私は見つからないように、慌てて階段を駆け下り、近くのトイレに逃げ込み、身をひそめた。
でもその彼女も私のいるトイレに入ってきて、私の隣りのトイレに入ると勢いよくドアを閉めた。