家が恋しく思うのはいつものことだが、あの日からまた家が聖域と化した。
 人が悪魔のように見えた。その一つ一つの動作が、自分を強く責めている気がした。
 今までは自分の自意識過剰だったと思いこむことによって、ひまりは学校という社会に馴染んでいた。
 しかしこうして直接「人殺し」と呼ばれたことは――たとえそれがひまりを指していないとしても、人を恐れる条件には十分すぎた。家族という心の支えを突き破った。
 結局は元通り。
 ひまりは家に引きこもることになった。