だけど。
その日は。
いかなかった、そういうわけには。
お父さんが。
向けたから、矛先を。
お母さんに。
言った、お父さんは。
お母さんに。
『お前の育て方が悪いから
彩珠は出来損ないになったんだ』と。
お母さんは。
怯えている、いつも。
お父さんに。
そして。
そう言われた、お父さんに。
そのことによって。
怯えていた、さらに。
お母さんは。
言われる、私だけが。
我慢する、それなら。
だけど。
言われる、お母さんが。
それは耐え難いこと。
だから。
言った、私は。
お父さんに。
『お母さんのことを責めないで』と。
そうすると。
言った、お父さんは。
『母さんがそう言われているのも
全て彩珠が出来損ないだから悪いんだろ。
お前が我が家に災いをもたらしているんじゃないか』と。
お父さんの言葉。
耐えかねたのか、さすがに。
怯えている、いつも。
お父さんに。
そんなお母さんが。
『もうやめてください』
そう言った。
いつも。
できない、意見を言うことが。
お父さんに。
そんなお母さんが。
伝えた、自分の意思を。
お父さんに。
それだからだろうか。
一瞬、目を丸くした、お父さん。
だけど。
戻ってしまった、すぐに。
いつも通りのお父さんに。
そうして。
必死に意思を伝えたお母さんのことを無視して。
「ふんっ」
そう言った。