「…………」
だけど。
惺月さんは沈黙の状態で。
「……どうなってしまうのかしらね」
ほんの少しの沈黙。
そのあと。
そう返答した、惺月さんは。
「私たち案内人も、
わからないの」
そうか。
わからないんだ。
惺月さんも。
「私も案内人の先輩から聞いただけだから。
先輩も言っていたわ。
『私も案内人の先輩から聞いた』と。
たぶん、そうやって伝わっているのだと思う。
だから実際のところ、どうなのかは全くわからないわ」
案内人の先輩から後輩へ。
そしてまた次の後輩へ。
そうやって伝わってきたんだ。
「ただ安心して。
現実の世界が日中になる一時間前と三十分前にチャイムが鳴るから
タイミングを逃すことはないわ」
鳴ってくれる、チャイムが。
それは。
安心、ものすごく。
「それは助かります」
「私が知る限り、
間に合わなかった人がいるという話は聞いたことはないわ」
「それはチャイムのおかげかもしれませんね」
「そうかもしれないわね」