「それからね、彩珠ちゃん、
もう一つ説明させてね」
「はい」
「『心が呼吸できる世界』と現実の世界が繋がっている出入り口は
空澄くんと彩珠ちゃんが入った出入り口だけではないの」
そうなんだ。
「全国各地の空き地や野原や草原、
そして公園に存在しているの」
確かに。
人が存在するのは全国各地。
だから。
出入り口も全国各地。
なる、そういうことに。
「見える出入り口は
住んでいるところから近いところだけど、
必ずしも一番近いところとは限らないの」
そうなんだ。
「詳しいことはよくわからないけど、
両方の世界を繋ぐにも相性というものがあるらしくて、
ピッタリと合うところにだけ出入り口は存在するみたいなの」
確かに。
私の場合も。
家から一番近い公園ではなく。
少し遠くの公園だった。
「出入り口は数多く存在するけれど、
どこから入っても『心が呼吸できる世界』にたどり着くの」
全国各地に存在する出入り口。
どこから入っても。
集まってくる、『心が呼吸できる世界』に。
そういうことなんだ。