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「もし、僕の言うように誰かが何かの目的のためにやっているなら、僕はその目的ごと見つけたいと思っている。そして、阻止するんだ」
「……私も、その方がいいと思います」
こくりと頷く彼女は、溢れそうになっていた涙を静かに拭い、僕の意見に賛同した。自信を纏った瞳は、真っ直ぐ僕を見つめて乞うように細められた。まるで、お願いしますと言わんばかりの表情に、僕は使命感のようなものが心の中心に突き刺さる感覚に陥った。――泣かせてしまいかけた時はどうしようかと思ったが、どうやらその心配は無用だったらしい。
それから、僕たちは他愛もない話をしつつ、土鳩の話をしては食事の時間を楽しんだ。永遠にも感じた時間は、残しては失礼だとパンケーキを必死に頬張った彼女が食べ終わるのと同時に幕を閉じた。カフェを出れば、時間はもうおやつ時を過ぎていた。
「今日はありがとうございました」
「いやいや、こちらこそ。久しぶりに君のような若い子と話が出来てよかったよ。刺激になった」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
ふわりと微笑む彼女。相変わらずの整った顔は日に当たりキラキラと輝いている。天使は続ける。
「すみません、急に引き留めてしまって。ご予定など、大丈夫でしたか?」
「予定……?」
天使の言葉に首を傾げた僕は、数秒考え、自分が何をしに外に出たのかを思い出した。一気に顔が青褪めていくのを感じる。ポケットに手を入れれば、かさりと丸くなった紙が無造作に入れられている。
(……まずい)
非常にまずい。僕は冷や汗を拭うことなく、頬を引き攣らせた。大人の余裕なんて、もうどこに行ったのかわからない。すっかり忘れてしまっていた。
「す、すまない! 僕はもう帰るけど、その、送って行けないが大丈夫かい?」
「は、はい! 大丈夫です!」
「本当にすまない!」
僕はそう言い放つとその場を走り出した。
急いで買い物をし、家に帰るが、出迎えたのは不機嫌そうな妻の顔だった。……どうやら遅かったらしい。
僕は仕事関係者に捕まっていたのだと弁明し、遅くなってしまった昼食は僕が作るという条件で許してもらう事にした。不器用な手で作った昼食がテーブルに並んだ時には、もう夕方になっていた。