僕は松葉杖をかつりと鳴らし、呆然と立ち竦む。目の前に広がる光景に、負傷した足の痛みよりも締め付けられる心が痛みを強く訴えてくる。

旧知である男──ちゅう秋が笑みを浮かべる。スポットライトに照らされた横顔は、まるで全てを見透かしているかのようで。


『憑き物を落とす日』