エンヴィーとの一戦から翌日。
昨夜アオを治してから、エンヴィーによって半壊されたアオの住処を何も無かったように魔法で直した。
「すごっ…魔法で建物も直せるんだ」
「直すのは今回だけだ…魔法は本来、陸の物や人には使ってはいけない。昨夜のエンヴィーはオーシャンバトルのルールに違反してる。それのおかげで、特別に使ってるんだ」
「ルール…ルールがあるの?」
オーシャンバトルのルール
1.番以外の陸の人を傷つけてはならない
2.番以外の陸の人間の生活に影響与えるようなことはしてはいけない。
3.戦闘は海
「エンヴィーは番になる前のお前を傷つけてる上に戦闘を陸で仕掛けた」
「じゃ、ルール違反したエンヴィーは?」
「ペナルティが加算される。参加者全員ペナルティは4回までだ。4回以上すると番を強制解除されロストされる」
「一応ペナルティがあるんだ…しかし、大変だなー…。魔法も使うのもルールがあるなんて」
アオは散らばっていた資料や本を、手際よく片付けていく。
「仕方ないことだ、俺達が陸で激しく魔法使えば、魔法を知らない陸の人間からしたら物珍しいだろ?そこから、色々とカオスが生まれ陸と海の均衡が保てなくなるからな。…そこでだアオ、今後の事も考えてお前には俺の番として一緒に海…オーシャンに来てもらいたいんだが来てくれるか?」
「…………」
アオは作業してる手を止めた。
「アオ?」
「あーあ…昨日から色々あってさ、私は死にかけたりしてさ…散々だったし、多分こんなことがまた私の家で起きたらたまったもんじゃねぇなぁ…」
アオは本を片付けて振り向き、少しずつ俺に近づく。
そしてアオは俺を真っ直ぐ見つめ、あの可愛いらしい笑顔を見せた。
「だから、私もセラと一緒に行くよ」
「俺と一緒に行くことは、一生オーシャンから陸に帰って来れなくなる可能性もある。それでも…」
「あーあー細かいことは気にするなって」
「……」
「どーせ、アンタとの番契約は私が死なない限り解除は無理なんだろ?それに私は今すげー胸が踊ってるんだ!海に行けば、セラみたいな人間に会えるし、もしかしたら新種の魚にも出会えるかも」
「アオ…」
アオは俺が思っていたのとは真反対で、子どものようなキラキラした瞳で答えた。
学者の好奇心がアオの胸を昂らせているみたいだ。
それもそうだ、今から行く所は普通じゃ行けない場所だ。
「海の国に行けるのかー楽しみだー!えっと、何持っていこうか悩むなー!あっ、セラ!」
「なんだ?」
「オーシャンに行くの2日後でもいいか?」
「急いではいないからな別に構わない。しかしなぜ2日後?」
「帰って来れないかもしれないなら、行く前に会いたい人がいる」
「会いたい人??オスか?」
「いや、オスじゃない。大切な人!!ほら!今から行くから早く!」
アオは素早く荷物をまとめはじめた。
このままオーシャンに行くからか、荷物が少しだけ多い。
俺は流石に今の姿だと目立つ為、魔法で陸の人間の姿になるように耳鰭と尾鰭を隠した。
もちろん服とかはアオが持っていた雑誌と言う本を読んで、陸で人気な姿になる為に魔法で服装を変えた。
「セラ!早く!いく……んぇ!?」
「どうしたアオ?」
「いや、耳鰭と尾鰭がないし…それに…」
「魔法で隠しただけだ、流石に本来の格好じゃ目立つし怪しまれるからな」
「怪しまれるどころか…アンタは高身長でイケメン、筋肉質で周りの女性から狙われそうな姿だよ…」
「ないない…それに俺は番のお前以外のメスには興味がない」
俺はアオの頭を優しく撫でた。
「ば、馬鹿!やめっ!//」
アオは慣れてなかったからか、恥ずかしさで俺と顔を合わせずに、素早く俺の手を引いて住処を後にした。
本人は無意識か意識してるのか、顔の赤面と行動があってないが、その行動が可愛らしい。
住処から出て暫くすると、人が多い場所に来た。
そしてそのまま、アオに手を引かれ陸の人間が移動に使う電車というものに乗った。
オーシャンでは陸みたいな技術はなく、魔法や術に特化していて、移動は海馬だ。
しかし、この電車と言うのは駅と言う場所に止まる度に、人が乗ってきて増えていく。
「ねぇ…ねぇ、あの人やばくない?めちゃくちゃイケメンなんだけど…」
「すごい、イケメン…なんかあれセバスタに似てない?」
「だけど、あの人の隣にいるの…彼女かな?」
「えー…でもかなりの身長差カップル…」
「でも彼女さんの方ボーイシュでカッコ可愛くない?男装とか似合いそう」
先に席に座っていたメスがこちらに気づき、他のメスのヒソヒソ声が耳に入る。
どうやら、陸の人間には俺の身長だとかなり目立つらしい。
「…………」
「どうしたアオ?」
「……だ、大丈夫だ。ちょっと恥ずかしいだけ」
アオは顔を赤らめさせて、しかも見事に耳まで赤い。
どうやら、例のメスの会話がアオの耳にも入ったみたいだ。
恥ずかしさからか、顔を俺に一切向けずに電車の窓をただ見つめてる。
まぁ、異性関係が全くもってないアオからしたら初めての経験だ。
かくいう俺も、メスと異性関係持つのは初めてだ。
種族柄、他種族とは違って俺の種族…シーラカンス族は子を沢山産む種族ではなく、陸の人間と同じく1人しか産めないし…そのせいか、より良い子孫を残したいが為に他種族とは違って交尾本能が凄まじい。
だからこそ、メス選びには慎重になる。
俺も慎重な方だ…まぁ、俺の場合はアオのあの強いって分かっていても、相手構わずな立ち向かう強さに惹かれてしまった…あとチャーハン。
そんなアオが今じゃ、自分の心内を知られた上に初めての番になって…あの強気が無くなって、なんともまぁ、可愛いらしいメスなってる。
「な、なんだよ…そんなに」
「いや、昨夜の勢いが無くなって可愛いらしくなってるなと」
「ば、バカヤロウ!そそそ、そんなこと急に言うな!!ほら!もう着くから降りるよ!」
「はいはい」
アオは俺とはぐれないように手を繋ぐ。
アオに手を引かれ人混みの中を歩くが、俺の身長が高い為かアオの姿が上からよく見える。
「通勤ラッシュ過ぎても、場所的に人が多いのは仕方ないか…ほら、おばさんが待ってるから早く行こ」
「おばさん?」
「アオーー!!!久しぶり!!!」
すると、出口近くで手を振って、アオの名を呼んでいるメスが居た。
多分あれがアオが言うおばさんなんだろう。
「ヒフミおばさん!!お久しぶりです!」
「今朝急に泊まりに来るって、電話きたからさー私仕事休んじゃった!」
「すみません、急に…押しかけるようになって」
「いや、いいのよ!だって、可愛い姪っ子が久しぶりに来るんだ……ん?」
「…………」
ヒフミがこちらに気づいた。
「あ、おばさん…紹介するね…その…彼は…彼は…」
アオは流石に番とは言えないのは分かっているが、必死に言葉を考えて言える言葉を決めて、それを言わなきゃいけないが初めてで、恥ずかしさからか中々口からその言葉が出てこない。
「……」
「か、かか…彼は、私のこ、こここここ……恋人のセラ!!!」
「恋人!?え??アオの恋人!?ちょ、それ早く言ってよ!こんなラフな格好で来たじゃん!」
「はじめまして…俺はセラ・クロッソと言います」
「あらやだ!すごい良い人な上に外国の方?やるじゃないアオ!」
「あ……ははは」
「ここじゃあれだし、ほら車に乗って家でお茶でも飲みましょ!」
ヒフミに言われ、車というものにアオと一緒に乗った。
そして、車を走らせ20分くらいでヒフミの住処に着いた。
「去年から先週まで海の上だったから…おばさん家がこんなにも久しぶりに感じる」
「そう?あんまり変わってないわよ!、アナタの部屋はまだ残しているし、掃除もしているからそこで2人は泊まって」
「まだ残していたの!?おばさん使えばいいのに」
「今回みたいに、なんかあった時に使うから残してるのよ!さぁさぁ上がって上がって、とりあえず荷物置いてきて」
「わかった、ほら行くよセラ」
「わかった…荷物は俺が持つ。重たいだろ」
「あ、ありがとう」
自分達の荷物を持ち、住処に上がる。
アオの住処とは違い、今の陸の人間の住処にしては珍しく広くて古い住処だ。
アオの後を追って着いていく。
「ここが、私の部屋…元だけど…ほら入って」
「……」
部屋に入りゆっくり荷物を置く。
部屋の様子はシンプルで、窓から海が見える。
「海が見える」
「見えるよ、昔は今より建物が少なかったから結構見えてたけど…」
少し残念そうに苦笑するアオ。
確かに建物がなければかなり良い風景だったかもしれない。
そして、窓を開けると海風が優しく入ってくる。
「やっぱりここからの風は気持ちいい…。ほら、おばさん待っているから下にいこ」
アオに手を引かれ部屋を後にした。
リビングに戻ると、ヒフミがお茶の用意をしており、オレとアオはヒフミに言われるがままに席につき、ヒフミと他愛もない会話で盛り上がる。
「いやぁ、しかしまさかアオが恋人をつくるなんて…もしかして…2人は婚約はしたの?」
「ごふぅっ!!?こ、ここここ婚約!?」
「はい、もちろん婚約しました」
「んごぉ!?せ、セラ!?」
「もぅ!若いっていいわねー!!!アオ、本当に良い人見つけたわねー!アナタのお父さんもお母さんも喜んでるはずよ」
「……あははどうだろう」
アオはヒフミの言葉に少しだけ詰まった。
「そう言えば、アオのご両親は?」
「…………ご、ごめん!私ちょっとトイレ行ってくる」
「…………」
アオは誤魔化すようにして、慌ててトイレに行った。
昨夜アオを治してから、エンヴィーによって半壊されたアオの住処を何も無かったように魔法で直した。
「すごっ…魔法で建物も直せるんだ」
「直すのは今回だけだ…魔法は本来、陸の物や人には使ってはいけない。昨夜のエンヴィーはオーシャンバトルのルールに違反してる。それのおかげで、特別に使ってるんだ」
「ルール…ルールがあるの?」
オーシャンバトルのルール
1.番以外の陸の人を傷つけてはならない
2.番以外の陸の人間の生活に影響与えるようなことはしてはいけない。
3.戦闘は海
「エンヴィーは番になる前のお前を傷つけてる上に戦闘を陸で仕掛けた」
「じゃ、ルール違反したエンヴィーは?」
「ペナルティが加算される。参加者全員ペナルティは4回までだ。4回以上すると番を強制解除されロストされる」
「一応ペナルティがあるんだ…しかし、大変だなー…。魔法も使うのもルールがあるなんて」
アオは散らばっていた資料や本を、手際よく片付けていく。
「仕方ないことだ、俺達が陸で激しく魔法使えば、魔法を知らない陸の人間からしたら物珍しいだろ?そこから、色々とカオスが生まれ陸と海の均衡が保てなくなるからな。…そこでだアオ、今後の事も考えてお前には俺の番として一緒に海…オーシャンに来てもらいたいんだが来てくれるか?」
「…………」
アオは作業してる手を止めた。
「アオ?」
「あーあ…昨日から色々あってさ、私は死にかけたりしてさ…散々だったし、多分こんなことがまた私の家で起きたらたまったもんじゃねぇなぁ…」
アオは本を片付けて振り向き、少しずつ俺に近づく。
そしてアオは俺を真っ直ぐ見つめ、あの可愛いらしい笑顔を見せた。
「だから、私もセラと一緒に行くよ」
「俺と一緒に行くことは、一生オーシャンから陸に帰って来れなくなる可能性もある。それでも…」
「あーあー細かいことは気にするなって」
「……」
「どーせ、アンタとの番契約は私が死なない限り解除は無理なんだろ?それに私は今すげー胸が踊ってるんだ!海に行けば、セラみたいな人間に会えるし、もしかしたら新種の魚にも出会えるかも」
「アオ…」
アオは俺が思っていたのとは真反対で、子どものようなキラキラした瞳で答えた。
学者の好奇心がアオの胸を昂らせているみたいだ。
それもそうだ、今から行く所は普通じゃ行けない場所だ。
「海の国に行けるのかー楽しみだー!えっと、何持っていこうか悩むなー!あっ、セラ!」
「なんだ?」
「オーシャンに行くの2日後でもいいか?」
「急いではいないからな別に構わない。しかしなぜ2日後?」
「帰って来れないかもしれないなら、行く前に会いたい人がいる」
「会いたい人??オスか?」
「いや、オスじゃない。大切な人!!ほら!今から行くから早く!」
アオは素早く荷物をまとめはじめた。
このままオーシャンに行くからか、荷物が少しだけ多い。
俺は流石に今の姿だと目立つ為、魔法で陸の人間の姿になるように耳鰭と尾鰭を隠した。
もちろん服とかはアオが持っていた雑誌と言う本を読んで、陸で人気な姿になる為に魔法で服装を変えた。
「セラ!早く!いく……んぇ!?」
「どうしたアオ?」
「いや、耳鰭と尾鰭がないし…それに…」
「魔法で隠しただけだ、流石に本来の格好じゃ目立つし怪しまれるからな」
「怪しまれるどころか…アンタは高身長でイケメン、筋肉質で周りの女性から狙われそうな姿だよ…」
「ないない…それに俺は番のお前以外のメスには興味がない」
俺はアオの頭を優しく撫でた。
「ば、馬鹿!やめっ!//」
アオは慣れてなかったからか、恥ずかしさで俺と顔を合わせずに、素早く俺の手を引いて住処を後にした。
本人は無意識か意識してるのか、顔の赤面と行動があってないが、その行動が可愛らしい。
住処から出て暫くすると、人が多い場所に来た。
そしてそのまま、アオに手を引かれ陸の人間が移動に使う電車というものに乗った。
オーシャンでは陸みたいな技術はなく、魔法や術に特化していて、移動は海馬だ。
しかし、この電車と言うのは駅と言う場所に止まる度に、人が乗ってきて増えていく。
「ねぇ…ねぇ、あの人やばくない?めちゃくちゃイケメンなんだけど…」
「すごい、イケメン…なんかあれセバスタに似てない?」
「だけど、あの人の隣にいるの…彼女かな?」
「えー…でもかなりの身長差カップル…」
「でも彼女さんの方ボーイシュでカッコ可愛くない?男装とか似合いそう」
先に席に座っていたメスがこちらに気づき、他のメスのヒソヒソ声が耳に入る。
どうやら、陸の人間には俺の身長だとかなり目立つらしい。
「…………」
「どうしたアオ?」
「……だ、大丈夫だ。ちょっと恥ずかしいだけ」
アオは顔を赤らめさせて、しかも見事に耳まで赤い。
どうやら、例のメスの会話がアオの耳にも入ったみたいだ。
恥ずかしさからか、顔を俺に一切向けずに電車の窓をただ見つめてる。
まぁ、異性関係が全くもってないアオからしたら初めての経験だ。
かくいう俺も、メスと異性関係持つのは初めてだ。
種族柄、他種族とは違って俺の種族…シーラカンス族は子を沢山産む種族ではなく、陸の人間と同じく1人しか産めないし…そのせいか、より良い子孫を残したいが為に他種族とは違って交尾本能が凄まじい。
だからこそ、メス選びには慎重になる。
俺も慎重な方だ…まぁ、俺の場合はアオのあの強いって分かっていても、相手構わずな立ち向かう強さに惹かれてしまった…あとチャーハン。
そんなアオが今じゃ、自分の心内を知られた上に初めての番になって…あの強気が無くなって、なんともまぁ、可愛いらしいメスなってる。
「な、なんだよ…そんなに」
「いや、昨夜の勢いが無くなって可愛いらしくなってるなと」
「ば、バカヤロウ!そそそ、そんなこと急に言うな!!ほら!もう着くから降りるよ!」
「はいはい」
アオは俺とはぐれないように手を繋ぐ。
アオに手を引かれ人混みの中を歩くが、俺の身長が高い為かアオの姿が上からよく見える。
「通勤ラッシュ過ぎても、場所的に人が多いのは仕方ないか…ほら、おばさんが待ってるから早く行こ」
「おばさん?」
「アオーー!!!久しぶり!!!」
すると、出口近くで手を振って、アオの名を呼んでいるメスが居た。
多分あれがアオが言うおばさんなんだろう。
「ヒフミおばさん!!お久しぶりです!」
「今朝急に泊まりに来るって、電話きたからさー私仕事休んじゃった!」
「すみません、急に…押しかけるようになって」
「いや、いいのよ!だって、可愛い姪っ子が久しぶりに来るんだ……ん?」
「…………」
ヒフミがこちらに気づいた。
「あ、おばさん…紹介するね…その…彼は…彼は…」
アオは流石に番とは言えないのは分かっているが、必死に言葉を考えて言える言葉を決めて、それを言わなきゃいけないが初めてで、恥ずかしさからか中々口からその言葉が出てこない。
「……」
「か、かか…彼は、私のこ、こここここ……恋人のセラ!!!」
「恋人!?え??アオの恋人!?ちょ、それ早く言ってよ!こんなラフな格好で来たじゃん!」
「はじめまして…俺はセラ・クロッソと言います」
「あらやだ!すごい良い人な上に外国の方?やるじゃないアオ!」
「あ……ははは」
「ここじゃあれだし、ほら車に乗って家でお茶でも飲みましょ!」
ヒフミに言われ、車というものにアオと一緒に乗った。
そして、車を走らせ20分くらいでヒフミの住処に着いた。
「去年から先週まで海の上だったから…おばさん家がこんなにも久しぶりに感じる」
「そう?あんまり変わってないわよ!、アナタの部屋はまだ残しているし、掃除もしているからそこで2人は泊まって」
「まだ残していたの!?おばさん使えばいいのに」
「今回みたいに、なんかあった時に使うから残してるのよ!さぁさぁ上がって上がって、とりあえず荷物置いてきて」
「わかった、ほら行くよセラ」
「わかった…荷物は俺が持つ。重たいだろ」
「あ、ありがとう」
自分達の荷物を持ち、住処に上がる。
アオの住処とは違い、今の陸の人間の住処にしては珍しく広くて古い住処だ。
アオの後を追って着いていく。
「ここが、私の部屋…元だけど…ほら入って」
「……」
部屋に入りゆっくり荷物を置く。
部屋の様子はシンプルで、窓から海が見える。
「海が見える」
「見えるよ、昔は今より建物が少なかったから結構見えてたけど…」
少し残念そうに苦笑するアオ。
確かに建物がなければかなり良い風景だったかもしれない。
そして、窓を開けると海風が優しく入ってくる。
「やっぱりここからの風は気持ちいい…。ほら、おばさん待っているから下にいこ」
アオに手を引かれ部屋を後にした。
リビングに戻ると、ヒフミがお茶の用意をしており、オレとアオはヒフミに言われるがままに席につき、ヒフミと他愛もない会話で盛り上がる。
「いやぁ、しかしまさかアオが恋人をつくるなんて…もしかして…2人は婚約はしたの?」
「ごふぅっ!!?こ、ここここ婚約!?」
「はい、もちろん婚約しました」
「んごぉ!?せ、セラ!?」
「もぅ!若いっていいわねー!!!アオ、本当に良い人見つけたわねー!アナタのお父さんもお母さんも喜んでるはずよ」
「……あははどうだろう」
アオはヒフミの言葉に少しだけ詰まった。
「そう言えば、アオのご両親は?」
「…………ご、ごめん!私ちょっとトイレ行ってくる」
「…………」
アオは誤魔化すようにして、慌ててトイレに行った。