アオにはポセイドン様に呼ばれたと言ったが、アレは嘘で実際は師匠の事を調べる為だ。
調べるには、やはり先ず天海の全てをまとめてるアトランティスが情報が入りやすい。
何よりアオの為だ…。
俺が見ていたら、プレッシャーで集中出来なくなるだろう。
それなら、アイツが修行してる間は俺が師匠の情報を集めた方がいいと思った。

「あんまり行く気のらないが、アトランティスの情報と言えばあそこしかないな…」

アトランティスは2つの顔がある。
1つは活気溢れ観光地みたいな街で、もう1つは天海軍の目を盗み、麻薬や人身売買、違法武器販売など表では絶対に出せない商売をしてる街、闇の街がある。
深い情報なら、闇街の方が入りやすい。

アトランティスの中央道から西に行き、川沿いに行くと人気がなく、建物と建物の間に狭い路地ある。
普通の奴なら普通に通ってもなんともない路地だが…。

隠し通路(ガハイム)

秘密の呪文を唱えると、何も無かった路地から隠し通路が現れた。
辺りを警戒しながら、ゆっくり入ると入口は閉じ闇街に着いた。

「久しぶりに来たな…。とりあえず、アイツの所に行くか。」

闇街でも人が溢れ嫌な活気だ。
麻薬の独特な甘ったるい匂いや、闇市の匂いが鼻の奥に刺さる。
そんな入り組んだ道を歩き、しばらくすると目的の人物がいる場所に辿りついた。

海藻大麻と書かれた小さな店
  
「あんまり来たくはなかったが…」
「もっと来てもいいのよ?」

後ろから会うと厄介な奴の声がし振り向くと、赤い長髪に銀色の長い尾鰭を特徴としてもつ者。

「俺が双璧の名を受け継いだ以上、中々来れないの知ってるだろ、リィゲリア」
「あらぁー寂しい事を言うのね、まぁ…とりあえず入って要件は大体分かるから」
「話が早いのは助かる」

リィゲリアの店に入るのは久しぶりで、相変わらず店の中は海藻大麻の甘ったるい匂いが充満してる。

「要件は知ってるけど、念の為聞こうじゃない?」
「俺の師匠、リヴィアタンについて今分かる情報全てだ」
「全てねぇ…」
「なんだ、金か?金ならある」
「いやぁ、金は要らないわ…」

リィゲリアは俺の方に近づく。

「そうねぇ…身体が欲しいかしら?」
「俺はそっちのオスの趣味はない」
「分かってるわよ、私も流石に番がいるオスには手は出さないわ。なに?手を出して欲しい?」
「やめろ」
「冗談よ」

コイツはリュウグウノツカイ族では…いや、俺らの種族では珍しいくらい、オス色があり顔はイケメンな為メスからも人気が高い為かコイツを求めて、海藻大麻を買う奴が多い。

「で、なぜ俺の身体が欲しい?」
「それはね…」

嫌な予感しかしない…。
コイツに関して今まで良い過去がない。
なんせコイツは…。

「あなたを題材にしたオス色新作小説と挿絵を描きたいのよー!!!」
「………だろうと思ったよ」
「もう、最近アナタが来なかったからネタと妄想が尽きてるのよ!!前作のリヴィアタン×セラネタがもう絶賛でー!!一族を滅ぼされ身寄りのない少年を、1人の冷酷戦士が気まぐれで拾い育てたら、見事な青年になり青年は育て親でもあり、師匠に恋をする!!なんて素晴らしい!!さぁさぁ、早く上着とズボン脱いでちょーだい!!早く!!私はアナタをスケッチしたいのよ!!あわよくば、アナタの大胸筋触らせて!そしたら、アナタが欲しい情報全部あげようじゃない!!」
「…アオの為だ……そう、アオの為……仕方ない。少しだけだ」

リィゲリアは俺の大胸筋を両手で鷲掴みし、いやらしいく揉む。

「おーー!!また身体鍛えた??いやぁー!アナタの大胸筋は美しい素晴らしい!!」

そう、コイツはオス色と官能小説作家でそれなりにメスに人気な作家だ。

「もう、いいだろ……離せ。…なんで俺なんだ…仮にもお前は元7天の忍辱の戦士のくせに…」
「戦士なんて好きなようなことできないのよ、なんなら私みたいな奴には生きづらいのよ!金はよかったけども!…それよりアナタの方がいいのよ!鍛えに鍛え上げられた身体。オスらしさもあるが、濃ゆくもない美しい顔。見た目がもう攻めなのよ!!あぁ、あの攻めに見えるリヴィアタンが、歳下弟子に気持ちよく攻められるなんて…たまんないわ!!」

リィゲリアは目を輝かせ興奮しながら、筆を走らせる。
リィゲリアの指示で様々なポーズをとらされたが、どれもが羞恥心が出るようなポーズばかりで、リィゲリアを1発殴りたい気分だ。
しかし、アオの為ならば仕方ない。

「よーし、もうしばらくは書き続けれるかなー?」
「で、情報だ」
「やーね、焦らせるオスは嫌われるわよ?」
「…………」
「はいはい、そんなに怖い顔しないで?教えてあげるわ」

リィゲリアはニヤニヤと嫌らしい顔をしながらも、ちゃんと情報を話した。
それを俺は服を着ながら聞いた。

「…まぁ、私が知る情報はこれくらいかな」
「…そこまで情報あれば充分だ」

情報を得るならやはりリィゲリアだ。
リィゲリアはオーシャン1情報網が広い。
コイツが情報屋だと知ってるのは極わずかで、コイツに気に入られない限り情報は渡されない。
まぁ、気に入られたら…いや、死ぬほど気に入られたら俺みたいな扱いになる。

「それにしても、今までメスに興味が無かったアナタがあのメスの為にそこまでするのね」
「やはり分かるのか…大したものだな読心術ってのは」
「その言葉そっくりそのまま返すわ、お互い術者一族の生き残りなんだから」
「…………」
「いつまで仲間やあのメスに隠すつもり?あなたも分かるとおもうけど、術者はこの世界では希少価値でもあり最悪な存在だって」
「分かってる…だから似たようなアンタが必要だ。俺の力を秘密に出来る奴がな」

俺はお礼程度にお金を渡す。

「あらあら、いい事言うじゃない?アナタが初めて来た時は、リヴィアタンの後ろに小魚ちゃんみたいに引っ付く可愛い子どもだったのにね」
「俺はもう子どもじゃない…。情報提供感謝するリィゲリア…」
「はいはい、また何時でも来てちょうだい」

俺はリィゲリアの店を後にした。