それからしばらくの間、学校生活は平穏だった。


いや、平穏というのは語弊がある。


ちょくちょく「見てんじゃねェよ」と神谷に凄まれるのは相変わらずだった。
授業等で仕方なく話し掛けようものなら、スルーされるのも当たり前だった。


相変わらず神谷は机に突っ伏して寝てばっかりだし、どこで過ごしてるのか昼休みにフラリといなくなるのも同じ。


ただ、あの日に見た“もう1人の神谷”に、あたしが会う事だけがなかった。


神谷が学校を休まないから、家に行く必要もない。
神谷が学校を休まないから、休み時間はポツンと過ごす。


そんな変わり映えのない日々を過ごしていたある日、1つの事件が起きた。