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「よーし、みんなお疲れ〜!目的地に着いたから降りちゃってー!」
「はーい」

 十鳥先生の言葉を合図に私たち3人は車から降りる。

「おぉ…」
「いい天気」
「空気がおいしい!」

 目に映りこんだ空は雲が疎らな晴れ模様。暑い日差しが炎のように照りつけ、緑の澄んだ空気と夏の青空が調和する。
 試験が終わった週の日曜日。私たち3人は十鳥先生に連れられて、住んでる街からそこまで離れていないとある山の麓まで来ていた。

「ひけしやま?」

 自然豊かな山の麓。木柱の標識には『焔消山(ひけしやま)』と書かれている。

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「バードウォッチングをしよう!」

 試験が終わった日に十鳥先生は唐突にそう言った。

「バードウォッチング?」
「そ!自然の公園とか山とかに行って、野鳥の様子を観察してみることだよ!」

 十鳥先生は人差し指を立てながら誇らしげにそう説明した。

「いや、俺ら多分意味は知ってます」
「なんで突然?というところですかね」

 私も黙ってこくこくと頷く。


「いやぁ、部活動をやるからには活動報告をしなくてはいけなくてね。ピィちゃんのお世話してますだけだと活動報告として弱いなぁと思ってさ」

 先生の言うことは最もだった。
 私としては今まではピィちゃんのお世話を行うための部活だった。
 しかし、ピィちゃんのお世話をするうちに生き物に触れることが嬉しいと思い始めた。生き物について、命について知りたい
という気持ちが少しだけ芽生えてきている。

「とはいえ、その辺は建前だよ。近くの山でバードウォッチング用のハイキングコースがあったからいい機会かな?と思ってね。野鳥について知ることでピィちゃんのお世話になにか役立つかもしれないし」
「ピィちゃんの役に立つことなら私、やりたいです」

 十鳥先生のその言葉に反応してつい口をついてでてしまった。

「あっ」
「ふふっ、不知火さんが真っ先にそう言ってくれるなんてね」

 たしかに今までの私だったらこんなこと言わなかったかもしれないし、そもそも思うこともなかったかもしれない。

「俺もバードウォッチングしたことないんですごい興味あります!」
「お、生駒くんいいねぇ!赤翼くんは?」
「ぜひ、行かせてください」

 トントンと話が進んでいった。みんな不思研として活動してて、少しずつ赤翼くんに似てきたのかもしれない。

「よし決定!日曜日に学校前に集合ね?山を登ることになるから動きやすい格好で来るんだよー!」
「「「はい」」」

 山登り、初めてだ。怪我しないように気をつけないと。

「ピィ!」
「ピィちゃんはお留守番ねー」
「…ピィ」

悲しげに鳴くピィちゃんを見てみんなで笑った。


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