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「おわったぁー!」
「うるさっ。急に叫ぶのやめてよ、翔」
「ピィィー」

 最後の試験が終わって放課後になる。私たちはまたいつも通り部室に来ていた。

「まぁまぁ、生駒くんは今回そこそこ頑張ってたからね」
「え、そうなんですか?」
「私に生物を聞きに来たんだよ」
「補習になったら俺だけ部活来れないしね!」
「現金だけど、頑張ったのは確かだね」

 今日は十鳥先生も最初から部室にいた。

「ピッ!」
「ピィちゃんにも褒められたぜ!」

 そんな生駒くんを見てクスリと笑い、彼女の綺麗なポニーテールと白衣が開いた窓から吹入る夏風に揺れる。
 いつも通りの楽しげな空間。しかし、私は立て続く嫌がらせを対処するのに神経を擦り減らしていて疲弊していた。

「不知火さん、最近疲れてるよね」
「えっ?」

 そんな様子を見兼ねたのか、生駒くんがそう口にした。

「…大丈夫?」
「あ、うん。大丈夫」

 私が生駒くんにそう返すと、彼の隣にいた赤翼くんとも目が合った。

「あ…」
「…っ」
「試験勉強で疲れたのかな?俺も結構頑張ったからなぁ…なんつって」
「……」
「……」
「あー、えっと」

 赤翼くんに謝れていないし、向こうも気まずそうに目を逸らす。
 ピィちゃんの飛ぶ練習で部活に来ていても赤翼くんとは会話できなかった日々が続いた。
 謝りたいという気持ちはあるのに、小学校後半から友達を作ってこなかったせいか友人と仲直りができない。1週間も気まずい状態が続く。高校生にもなってありえないと思う。
 赤翼くんはどう思ってるんだろうか?

「青春だねぇ」
「十鳥先生、何呑気なこと言ってるんですか」

 生駒くんと十鳥先生が小声で会話する。
 きっと、人間関係が円滑に行えてきた人ならこんな風に拗らせることはなかったんだろうな。

「よしっ!じゃあ試験も終わった事だしそろそろ発表しようかな!」
「ピッ!」

 パンッと手を叩き十鳥先生が立ち上がる。ピィちゃんが驚いて少し体をビクつかせた。

「君たち、今週の日曜日空いてる?」
「日曜日?」
「ピィ?」

 生駒くんとピィちゃんが頭にハテナを浮かべる。私と赤翼くんも言葉は発しないまでも真意がわからず同様の反応を見せた。

「ふっふっふっ、実はね」

 そんな私たちを見て、十鳥先生は楽しそうに含み笑いをした。