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「もうそろそろ夏休みだなー」
「その前に翔、定期考査があるよ?」
「うぁー!」

 放課後。いつも通り3人、部室で雑談。
 しかしどうにも馴染めない。今朝あったことが原因で、私はここにいない方が良いのでは?と思い始めている。
 もうあんな目にあうのは嫌だ。私が大人しくここを辞めればもう──

「ピピィ?」
「お、ピィちゃん慰めてくれるの!?」
「ピィ!」
「別に慰めなくていいよ?翔は少し勉強した方がいいんだから」
「有真だって理系科目以外は同じようなもんだろ!」
「できないよりマシだよねー?」
「ピィー」
「くっ!」

 でももしここを辞めたら、この楽しげな空間までなくなっちゃう。ピィちゃんも飛べないままだ。

「……」
「不知火さんは勉強どうなの?」
「…え?」
「俺はてんでダメだからさ。不知火さんはどうなのかなって」
「翔…」

 そういえば結局私、赤翼くんに謝れてないままだ。唐突に生駒くんに話を振られ、2人の会話に混ざるよう促されて戸惑う。

「……」
「…えっと」

 赤翼くんと目が合う。やっぱり少し気まずい。
 気まずいなんて言ってられないのはわかってる。女の子たちからの嫌がらせを2人に打ち明けてしまいたい。できれば助けて欲しい。
 でも私は昨日赤翼くんに『ただの部活仲間』なんて心にもないことを言ってしまった。その直後にそれを言うなんて虫が良すぎる。赤翼くんも何も話しかけてこないし、もしかしたら怒ってるかもしれない。

「あれ?何この空気」

 生駒くんがそんな空気を察したのか、少し不思議そうかつ居心地悪そうにする。

「ピィ…」

 ピィちゃんもどこか居心地が悪そうだった。