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 その日の放課後、チャイムが鳴るとすぐに僕ら3人は教室を飛び出した。

「十鳥先生」

 目的地は職員室。部員が揃ったので顧問をお願いしに来た。

「お、きたきた」

 先生たちが闊歩する職員室内で、白衣を着て座る十鳥先生が僕らに気がつき、ちょいちょいと手招きをする。

「先生、部員が3人集まりました」
「だと思ったよ。…ってなんだ、生駒くんか」
「はい!生駒です!」
「うんうん、とりあえず良かった」

 十鳥先生は生徒の名前を結構覚えている。翔に関しては僕といつもいるからかもしれないが、それが人気の先生である所以であることには違いないだろう。

「生駒くんなら赤翼くんの暴走を止められそうだから本当に安心だよ」
「ぼ、暴走?」
「赤翼くんねぇ…放送室をジャックして宣伝なんて暴走以外の何ものでもないよ?私もそのせいで学年主任に怒られたんだから」
「すみません!」
「と、止められなくてすみません」
「不知火さんは赤翼くんの被害者だから。でも赤翼くんはなぁ」
「い、いや僕も必死で…」
「ふふっ、わかってるよ。冗談だよ、冗談。でも生駒くんがいれば安心なのは本心かな」

 冗談といいつつ、暴走なのは否定されてない。くくくっと後ろで翔が笑う。翔には後で足でもかけてやろう。

「それでですね、顧問の方を」
「うん、わかってるよ。すぐ発足できるように申請書の埋められるところは埋めておいたよ」
「ありがとうございます!」

 仕事が早い。普段は少し抜けているイメージの先生。しかしさすがは大人と言ったところか、先んじて動いてくれていたようだ。

「ただいくつか決まってなくてね。まず部長は誰にする?」
「それはもちろんねぇ、不知火さん」
「赤翼くんしかいないかな」
「うん。なんとなく察してたんでそれでお願いします」
「はいはーい」

 それに関して異論はない。実際名乗りを上げようとしていたくらいだ。
 サラサラとペンを走らせて十鳥先生が僕の名前を記入する。