* * *
7月頭。夏休みまでもう少しという浮き足立った時期。昨日までは近づいた台風の影響で、豪雨と強風が吹き荒れた上に、雷が鳴る大嵐だった。ぐちゃぐちゃの天気だったが、今日は清々しいほどに晴れている。まさしく台風一過と言ったところ。
「…はぁ」
しかし、この晴れた天気とは真逆の気持ちを抱えている。無論、原因はさっきのお叱りのせいだ。
「災難だったなー、有真」
4限目終わりの昼休み。喧騒の中、僕の席まで来てニヤニヤとする1人の男子学生。
「…うるさいな」
その表情と言葉が腹立たしかったのでぶっきらぼうにそう答えた。
「心配して来てやったのになー」
「嘘つけ。翔はからかいに来ただけだろ」
「んなことないって」
目を丸くしてブンブンと手を振り、オーバーリアクションで潔白を示すのは同じクラスで幼馴染の生駒 翔。その反応が何よりの証拠。確実にからかいに来ているのは明白だ。
「生物の神秘を妄想するのは構わないが、TPOはわきまえないとな?」
「授業聞くより楽しいからいいんだよ」
「だから『UMAくん』なんて周りから揶揄されるんじゃないか」
手元に持つお弁当を僕の机で広げながら、グサグサと核心を突いてくる。
僕は生き物が好きだ。特に未解明な生物にロマンを感じている。この世にはたくさんの生き物がいて、僕らの知らない存在がある。それを考えるとワクワクする。それこそネッシーや雪男、果ては宇宙人さえいると僕は本気で思っている。
周りの人は決まってそんな僕の考えを笑った。昔はまだ良かったものの、高校生にもなってそんなことをいう僕のことを、名前を文字って『UMAくん』などと揶揄されていた。
それはそうだ。考えても見てほしい。例えばUFOや都市伝説を本気で信じていて、それを隠さずに触れ回るような人がいたらどう思うだろうか?少なくとも僕なら、近づくのをやめよう、そんな風に思うに違いない。要はそういうことなのだ。
面白おかしくからかわれるのならまだしも、遠巻きに噂されるような感じ。いじられキャラという接しやすいイメージではなく、どちらかと言えば夢見がちなおかしい子、という扱いだった。
7月頭。夏休みまでもう少しという浮き足立った時期。昨日までは近づいた台風の影響で、豪雨と強風が吹き荒れた上に、雷が鳴る大嵐だった。ぐちゃぐちゃの天気だったが、今日は清々しいほどに晴れている。まさしく台風一過と言ったところ。
「…はぁ」
しかし、この晴れた天気とは真逆の気持ちを抱えている。無論、原因はさっきのお叱りのせいだ。
「災難だったなー、有真」
4限目終わりの昼休み。喧騒の中、僕の席まで来てニヤニヤとする1人の男子学生。
「…うるさいな」
その表情と言葉が腹立たしかったのでぶっきらぼうにそう答えた。
「心配して来てやったのになー」
「嘘つけ。翔はからかいに来ただけだろ」
「んなことないって」
目を丸くしてブンブンと手を振り、オーバーリアクションで潔白を示すのは同じクラスで幼馴染の生駒 翔。その反応が何よりの証拠。確実にからかいに来ているのは明白だ。
「生物の神秘を妄想するのは構わないが、TPOはわきまえないとな?」
「授業聞くより楽しいからいいんだよ」
「だから『UMAくん』なんて周りから揶揄されるんじゃないか」
手元に持つお弁当を僕の机で広げながら、グサグサと核心を突いてくる。
僕は生き物が好きだ。特に未解明な生物にロマンを感じている。この世にはたくさんの生き物がいて、僕らの知らない存在がある。それを考えるとワクワクする。それこそネッシーや雪男、果ては宇宙人さえいると僕は本気で思っている。
周りの人は決まってそんな僕の考えを笑った。昔はまだ良かったものの、高校生にもなってそんなことをいう僕のことを、名前を文字って『UMAくん』などと揶揄されていた。
それはそうだ。考えても見てほしい。例えばUFOや都市伝説を本気で信じていて、それを隠さずに触れ回るような人がいたらどう思うだろうか?少なくとも僕なら、近づくのをやめよう、そんな風に思うに違いない。要はそういうことなのだ。
面白おかしくからかわれるのならまだしも、遠巻きに噂されるような感じ。いじられキャラという接しやすいイメージではなく、どちらかと言えば夢見がちなおかしい子、という扱いだった。