「ああっ、赤翼くん」
不知火さんが泣きじゃくりながら僕の名を呼ぶ。
「ピィちゃんは、ピィちゃんは幸せだったかな?私たちといられて幸せだったかな?」
彼女は優しい。深い深い優しさを持っている。見上げた空の青よりも深く、この大自然の空気よりも清らか。
「きっと幸せだったよ」
「ほんとに?本当?私のせいで、1回死なせてしまって。すごく辛かったんじゃないかって」
「不知火さん」
胸の中で泣く彼女を安心させるように僕も同じ優しさで声をかける。
「…っ!」
そのまま、涙を頬に伝わせながら抱きしめた。一瞬、躊躇したけれど、彼女にそうしたいという気持ちが勝った。
「大丈夫。大丈夫だよ。不知火さんの優しさは全部、ピィちゃんに伝わってるよ」
か細く震える不知火さんの背中をさする。抱きしめた彼女の体温は炎のように暖かく僕の体を満たしていく。
「だからさ、忘れないで生きよう。ピィちゃんと過ごした日々を。幸せだった日々も、悲しかった日々も全部」
「…うん」
「それが、僕らを前に向けてくれるから」
「…っ…うんっ!」
身動ぎ1つ。涙はたくさん。流した涙の数だけ何度でも前を向きたい。
きっとそれがピィちゃんが望んでいることだ。
「…ありがとう。傍にいてくれて。辛くても赤翼くんがいたから、ここまで…」
僕の言葉で少し落ち着いたのか、上目遣いに僕を見て胸元からそっと離れる。
「…まだまだだよ。これから経験する不知火さんの青春に、僕もずっと隣にいてもいい?」
喉を通りスラスラと言葉が出た。なによりも伝えたい言葉。ドキドキと高鳴る心臓。
「…うん!私、ピィちゃんみたいに一生懸命生きたい。人として一生懸命!」
「どこまでも付き合うよ」
彼女の頬を伝う涙はもう悲しみだけじゃない。これから先も強く生きられるようなそんな強さが瞳に焔のように灯っている。
美しい微笑みと綺麗な青い涙。彼女が僕の言葉にふっと泣き笑ったその刹那。
ピィィィィ!
「っ!」
高い空に不死鳥の鳴き声が1つ。それは一筋の強めの夏風と共に、不知火さんの髪をサァッと大きく靡かせた。
「…あ」
ぱっと彼女が空を見て、小さく声を上げる。声の方向、空を見た彼女の目線の先に、赤色の小さな羽根が空を舞っている。
それははらりはらりと舞い降りて、彼女の頭に乗った。
金色と緋色の混ざる1本の羽根。僕らはそれを、何度も何度も見てきた。
「ピィちゃん」
彼女が頭に乗った羽根を包み込むように優しく髪に触れ、一瞬俯く。涙が頬を流れ、地面に落ちる。
「…ありがとう」
落ちた涙を振り払うように。不知火さんはピィちゃんが飛んで行った方向をまっすぐ見上げて、強い瞳で小さく呟いた。
青く青く広がる夏空。僕らの青春がそこにあった。
不知火さんが泣きじゃくりながら僕の名を呼ぶ。
「ピィちゃんは、ピィちゃんは幸せだったかな?私たちといられて幸せだったかな?」
彼女は優しい。深い深い優しさを持っている。見上げた空の青よりも深く、この大自然の空気よりも清らか。
「きっと幸せだったよ」
「ほんとに?本当?私のせいで、1回死なせてしまって。すごく辛かったんじゃないかって」
「不知火さん」
胸の中で泣く彼女を安心させるように僕も同じ優しさで声をかける。
「…っ!」
そのまま、涙を頬に伝わせながら抱きしめた。一瞬、躊躇したけれど、彼女にそうしたいという気持ちが勝った。
「大丈夫。大丈夫だよ。不知火さんの優しさは全部、ピィちゃんに伝わってるよ」
か細く震える不知火さんの背中をさする。抱きしめた彼女の体温は炎のように暖かく僕の体を満たしていく。
「だからさ、忘れないで生きよう。ピィちゃんと過ごした日々を。幸せだった日々も、悲しかった日々も全部」
「…うん」
「それが、僕らを前に向けてくれるから」
「…っ…うんっ!」
身動ぎ1つ。涙はたくさん。流した涙の数だけ何度でも前を向きたい。
きっとそれがピィちゃんが望んでいることだ。
「…ありがとう。傍にいてくれて。辛くても赤翼くんがいたから、ここまで…」
僕の言葉で少し落ち着いたのか、上目遣いに僕を見て胸元からそっと離れる。
「…まだまだだよ。これから経験する不知火さんの青春に、僕もずっと隣にいてもいい?」
喉を通りスラスラと言葉が出た。なによりも伝えたい言葉。ドキドキと高鳴る心臓。
「…うん!私、ピィちゃんみたいに一生懸命生きたい。人として一生懸命!」
「どこまでも付き合うよ」
彼女の頬を伝う涙はもう悲しみだけじゃない。これから先も強く生きられるようなそんな強さが瞳に焔のように灯っている。
美しい微笑みと綺麗な青い涙。彼女が僕の言葉にふっと泣き笑ったその刹那。
ピィィィィ!
「っ!」
高い空に不死鳥の鳴き声が1つ。それは一筋の強めの夏風と共に、不知火さんの髪をサァッと大きく靡かせた。
「…あ」
ぱっと彼女が空を見て、小さく声を上げる。声の方向、空を見た彼女の目線の先に、赤色の小さな羽根が空を舞っている。
それははらりはらりと舞い降りて、彼女の頭に乗った。
金色と緋色の混ざる1本の羽根。僕らはそれを、何度も何度も見てきた。
「ピィちゃん」
彼女が頭に乗った羽根を包み込むように優しく髪に触れ、一瞬俯く。涙が頬を流れ、地面に落ちる。
「…ありがとう」
落ちた涙を振り払うように。不知火さんはピィちゃんが飛んで行った方向をまっすぐ見上げて、強い瞳で小さく呟いた。
青く青く広がる夏空。僕らの青春がそこにあった。