………
…
「みんな、もう少しだよ」
急な山道を十鳥先生が先導して歩く。バードウォッチングの時とは違い、頂上へ向かうための本格的な山道。
「っ…はぁ」
息を切らしながら歩く。激しいという程ではないが、体力を奪われる道だ。
山の麓の小屋で入山の手続きを行う際、ここを管理して開放している所有者の方から少し事情を聞いた。お年を召された温和な男性だったが、不死鳥の伝説については昔からこの山に伝わっていると知っていた様子。
元来、焔消山は登山用としての道がほとんど開発されていなかったそうだ。あくまでバードウォッチングは鳥類の住処を荒らさない程度の中腹付近までの開放にしているとのこと。
念の為、ピィちゃんのことを隠して頂上まで登りたいことを伝えると、何かを感じとったのか快く引き受けてくれた。
『貴方たちはとても優しい方ですね』
優しさか、事情を把握したのか、所有者の方は柔らかな表情を見せてくれた。
………
…
「はぁ…はぁ」
「不知火さん、交代するよ」
「ありがとう」
僕は不知火さんを気遣い、ピィちゃんの鳥籠を受け取った。
「ピィ!」
疲弊していた僕だが、ピィちゃんの鳴き声で少し元気になる。本当に可愛らしい。強い愛着は僕に力を与えてくれた。
「……」
元気になった瞳で周りを見渡す。
木々は伸びやかに育っていて、その広がった青い葉たちが夏の暑さをシャットダウンする。心地いい木漏れ日の光と一筋の風。サラサラと山道を吹き抜ける夏の風は翼が生えたかのように心や体を軽くしてくれる。
本当に不思議な場所だ。
「ピッ!」
ピィちゃんが元気に鳴く。
ピィィ!キキキキッ!キュウウッ!
それにに呼応するように鳥たちの鳴き声が方々から聞こえる。それはまるで合唱団のような美しい音色。
ここに不死鳥が住んでいるということを理屈ではなく肌で感じとった。
………
…
歩くこと数分。突然、木々が開けた場所が見えてきた。その入口にある古く朽ちかけた標には『鳳鳥山山頂』と掘られている。
「みんな、山頂だよ」
十鳥先生のその声と同時に、その開けた場所へ足を踏み入れた。
…
「みんな、もう少しだよ」
急な山道を十鳥先生が先導して歩く。バードウォッチングの時とは違い、頂上へ向かうための本格的な山道。
「っ…はぁ」
息を切らしながら歩く。激しいという程ではないが、体力を奪われる道だ。
山の麓の小屋で入山の手続きを行う際、ここを管理して開放している所有者の方から少し事情を聞いた。お年を召された温和な男性だったが、不死鳥の伝説については昔からこの山に伝わっていると知っていた様子。
元来、焔消山は登山用としての道がほとんど開発されていなかったそうだ。あくまでバードウォッチングは鳥類の住処を荒らさない程度の中腹付近までの開放にしているとのこと。
念の為、ピィちゃんのことを隠して頂上まで登りたいことを伝えると、何かを感じとったのか快く引き受けてくれた。
『貴方たちはとても優しい方ですね』
優しさか、事情を把握したのか、所有者の方は柔らかな表情を見せてくれた。
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「はぁ…はぁ」
「不知火さん、交代するよ」
「ありがとう」
僕は不知火さんを気遣い、ピィちゃんの鳥籠を受け取った。
「ピィ!」
疲弊していた僕だが、ピィちゃんの鳴き声で少し元気になる。本当に可愛らしい。強い愛着は僕に力を与えてくれた。
「……」
元気になった瞳で周りを見渡す。
木々は伸びやかに育っていて、その広がった青い葉たちが夏の暑さをシャットダウンする。心地いい木漏れ日の光と一筋の風。サラサラと山道を吹き抜ける夏の風は翼が生えたかのように心や体を軽くしてくれる。
本当に不思議な場所だ。
「ピッ!」
ピィちゃんが元気に鳴く。
ピィィ!キキキキッ!キュウウッ!
それにに呼応するように鳥たちの鳴き声が方々から聞こえる。それはまるで合唱団のような美しい音色。
ここに不死鳥が住んでいるということを理屈ではなく肌で感じとった。
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歩くこと数分。突然、木々が開けた場所が見えてきた。その入口にある古く朽ちかけた標には『鳳鳥山山頂』と掘られている。
「みんな、山頂だよ」
十鳥先生のその声と同時に、その開けた場所へ足を踏み入れた。