「キュッ、ピィッ!」

 すると突然ピィちゃんが鳥籠の中で翼をバタバタと羽ばたかせる。

「わぁっ!ピィちゃんどしたの?」
「ピィ!ピィッ!」

 何かを見つけた雰囲気。
 ガタガタと鳥籠が揺れて、深紅の翼が炎のように激しく暴れる。ピィちゃんの羽ばたきによって翼から1本の羽毛が宙を舞った。
 夏の陽射しを浴びて赤く輝く羽毛がヒラヒラとゆっくり舞い落ちる。やがてその赤い羽毛は、広げられた文献の中の1冊に舞い落ちる。

「…日本の不死鳥について」

 僕はそれを拾い上げてタイトルを読み上げる。ノートのタイトル欄にはそう書かれていた。

「こんなのあったんだ」
「私も気づかなかった。初めて見るかも」

 翔と不知火さんが僕の両脇に移動してくる。

「なにかヒントがあるかもしれないし、みんなで一緒に見てみよっか」
「だな」
「うん、そうだね」

 僕の提案を2人とも飲み込み、それを合図にノートを開いた。

………


『日本における不死鳥は鳳凰と同一とされ──』

 綺麗な大人びた字で書かれたノートをめくる。書かれている内容は日本での不死鳥の立ち位置について。
 日本では古来より中国から伝説として伝わった鳳凰や朱雀のことを不死鳥と呼び、それらに明確な違いはあるものの、時代と共に同一視されてきている。
 やはり歴史的な記述が多かった。

「うーん、なんか書いてなさそうだよね」

 僕ら2人の少し気落ち気味の発言の中、不知火さんは少し真剣な様子でノートを読み込んでいる。
 少しでも手がかりになる情報はないかと必死に探しているように見えるが、ページ数はもう残りあと少しというところまで来ていた。半ば諦め気味でペラリと紙をめくる。

「「「あっ!」」」

 僕ら3人は思わず同時に声を上げた。めくったその先には小タイトルという形で『日本の不死鳥の生息地』と書かれていた。