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 どれくらいの間、2人でそうしていただろうか?特にこれといった会話もなく、過ぎ行く時間。気まずいのではなく、ただ互いに言葉が見つからない。
 気がつけば部室の窓から鮮やかな西日が差し込んでいる。時間感覚なんてもの、そこにはなかった。ひぐらしの鳴き声が部室に木霊する。それはひどく悲しく聞こえた。

 こんなにも虚無を抱えていても、僕らはただ生きているだけでお腹が空く。持ってきたお弁当を食べたり、購買で飲み物を買ってきたり。時折、そうやって亡くなった命の灰の前で生きるために食事をとって時間を過ごした。
 ピィちゃんの復活を見守るためにする自分たちの生きるための行動が皮肉に感じた。

「どれくらい、かかるんだろうね」

 不死鳥が蘇るまでどれくらいかかるのか?ふと思った疑問を口にする。

「わからない。蘇りにどれくらいかかるか、私の持ってた文献には書いてなかった」

 僕の疑問には主語がないにも関わらず、まるで以心伝心しているかのように不知火さんが答えてくれる。

「…そっか」
「うん…」

 ピィちゃんが亡くなってから1週間。未だ灰の山はピクリとも動かない。不死鳥が蘇る姿を僕らはまだ1度も見た事がない。
 そもそも蘇れるのだろうか?もしかしたらこのまま命が終わってしまうのではないか?そんな風に感じてしまうほどに静かで、僕らの不安を大きく煽るばかり。