「ん?」
キョロキョロと部室を見回すも声の主は見当たらない。解散した生物・飼育部の部室で飼っている生物は存在しないので当然だ。いたとしても、教室の隅に張られた蜘蛛の巣の主くらいのものだろう。
「ピ…ピィ…」
見回している間も数回、同じ鳴き声が聞こえる。少し甲高く、かつ小さくか細く放たれるその声。
「…ピ」
耳を澄ませると、窓の外から聞こえている様子。1階の部室、窓の外は裏庭に繋がっている。その裏庭はあまり整備が行き届いてない、伸びてしまった草木が生い茂っていた。
「ごめん、ちょっと待ってて?」
飼育箱にいるウサギを優しく撫でる。フッフッと鼻を鳴らしたその姿は早く行ってあげてと言っているような気がした。今にも消えそうなその声を放っておくことが出来なかったのかもしれない。
「……」
窓から裏庭を覗く。裏庭に行くには部室を出て昇降口まで大回りする道のりだ。
「よしっ」
少し面倒だなと思った僕は決心して部室の窓を開ける。暑いほどの夏風が部室に流れ込んだ。台風一過の湿気と熱気。
もうすっかり夏だな。そう思いながら僕は上靴のまま机に足を置いて上り、窓のサッシに手をかけた。
「…ほっ」
そのまま窓から勢いよく裏庭に向けて跳ぶ。近道をするため、高校生にもなって子供みたいな大ジャンプ。
青い空と白い雲、温かな風と緑の香り。跳んだ中で感じた夏を思わせるその全てにワクワクした。
しかし、そんなワクワクも束の間。
「…うわぁっ!」
着地しようとした先の地面にいくつかの木の角材が散らばっていた。きっと昨日の台風で裏庭にあったものが散らばってしまったのだろう。不安定な地面に足を取られ、散らばった角材の上にしりもちをつく。
「いてて…」
幸い、角材で皮膚を切るなどはしなかった。
自分の少ない運動神経に感謝。横着はするものじゃないな…なんて思った。
キョロキョロと部室を見回すも声の主は見当たらない。解散した生物・飼育部の部室で飼っている生物は存在しないので当然だ。いたとしても、教室の隅に張られた蜘蛛の巣の主くらいのものだろう。
「ピ…ピィ…」
見回している間も数回、同じ鳴き声が聞こえる。少し甲高く、かつ小さくか細く放たれるその声。
「…ピ」
耳を澄ませると、窓の外から聞こえている様子。1階の部室、窓の外は裏庭に繋がっている。その裏庭はあまり整備が行き届いてない、伸びてしまった草木が生い茂っていた。
「ごめん、ちょっと待ってて?」
飼育箱にいるウサギを優しく撫でる。フッフッと鼻を鳴らしたその姿は早く行ってあげてと言っているような気がした。今にも消えそうなその声を放っておくことが出来なかったのかもしれない。
「……」
窓から裏庭を覗く。裏庭に行くには部室を出て昇降口まで大回りする道のりだ。
「よしっ」
少し面倒だなと思った僕は決心して部室の窓を開ける。暑いほどの夏風が部室に流れ込んだ。台風一過の湿気と熱気。
もうすっかり夏だな。そう思いながら僕は上靴のまま机に足を置いて上り、窓のサッシに手をかけた。
「…ほっ」
そのまま窓から勢いよく裏庭に向けて跳ぶ。近道をするため、高校生にもなって子供みたいな大ジャンプ。
青い空と白い雲、温かな風と緑の香り。跳んだ中で感じた夏を思わせるその全てにワクワクした。
しかし、そんなワクワクも束の間。
「…うわぁっ!」
着地しようとした先の地面にいくつかの木の角材が散らばっていた。きっと昨日の台風で裏庭にあったものが散らばってしまったのだろう。不安定な地面に足を取られ、散らばった角材の上にしりもちをつく。
「いてて…」
幸い、角材で皮膚を切るなどはしなかった。
自分の少ない運動神経に感謝。横着はするものじゃないな…なんて思った。