彼女はカフェで働き始めた。

カフェのお姉さん。
ジーンと胸が熱くなる。
実は憧れていた私。
カフェでのバイト経験に恵まれず、今の事務仕事になったので憧れの仕事である。
うらやましい。

引っ越し資金は貯金を崩しなんとかなるとして、やっぱり新しい部屋に合うラグとかソファとか可愛い食器棚とか欲しくなってしまうのが私たちの悪いところだと思う。

スマホで高級家具サイトを見ている私の頬を軽くグーパンチして、彼女はタブレットでニトリのサイトを私に見せる。
「ニトリでも私たちには高級なのよ」
そう言われて「うん」と返事をしてみるけれど……やっぱりお高い家具は素敵だなぁ。
上をみたらキリがないのはわかっているけど
あぁ……つらい。

現実を考えると
彼女のカフェの働きで高い家賃のお金を払うとしても、部屋が広くなると光熱費もかかると思うし、色々とそろえるとなるとかなりとってもお金が足りない。今でもギリギリ生活なのだから、やっぱきつい。

「あのね、いいこと考えた」
悪い顔で彼女はそう言った。

満面の笑みより可愛かった。