次から次へと

ドアスコープから見ると、ボサボサ髪の女性がうつむいて立っていた。
何かの勧誘?

「きたよー。あけてー」
だらしない声だったけど、妙に聞き覚えのある声だった。

「居るんだろ。開けろって!」
ドンドンとガラの悪い借金取りのようにドアを足で蹴り上げていた。私は慌てて近所の目とドアの被害を恐れてチェーンをかけて開けてみると

「うぇ~ぃ」
めっちゃ肌も髪も荒れた女が私に楽しそうに声をかけるので、悲鳴を上げそうになる。

「1週間後にここに来いって言われたんだ。よろしくぅ」
そう言って彼女は手に持っていた工具用のハサミでチェーンを切って部屋に入る。

「仲良くしようね」
そう言って素早く私の背中に何かを押し付けると、私は体中に電気が走り身体をのけぞらしてその場に倒れた。

「仲良くってゆーのか……もうあなたいらないけど」
首筋が熱い。
何かシールを貼られた気がする。

「バーコードシールも闇で買ってみた。これからバスターさんに電話するねー」

ってことは?

「また借金生活だけど、好きにやらせてもらうわ」

私の最高にだらしない悪の部分が出てるよ、もうこれは自分じゃないね、私の部分が薄すぎる。

「初めましてー。クローン3号でーす」

閉じかけた私の意識に彼女は楽しく呼びかけた。



                【完】