ランチメニューは、その日ごとに変わる。いい野菜が手に入れば野菜をメインに、いいお肉が手に入ればお肉をメインに、りんごおじさんが朝からメニューを考える。
そして今日は、おいしいカツオを魚屋さんで買えたのでオススメはカツオ漬け丼──、【浦島太郎の漁師飯】だ。
「これ、わたしも試食したよ! タレがね、ショウガとニンニクがきいてて、すっごくおいしいの!」
「うぅぅーん! 食べたい! でも、ダメ!」
ましろが勧めたけれど、乙葉さんは悔しそうに首を横に振った。
「食べたいなら、食べたらいいのに。どうして?」
ニンニクのにおいのせいかな、と思ったましろだったが、答えは恩田さんが教えてくれた。
「生ものを食べたらダメのよ。食中毒のリスクを避けるためにね。妊婦さんって免疫力が低くなってるから、普通の人より注意しないといけないの」
「そうなんだ! たしかに、おなか壊したらしんどいよね」
「そうよ。赤ちゃんも守らないといけない。でも、めったな薬は飲めないから困るのよ」
「お薬もダメなの?」
「大丈夫なものもあるけど、基本的にはね」
ましろは「へぇ!」と感心した。なんだか、とても賢くなった気分だ。
「だから、あたし我慢してるんだよ。大好きなお刺身も、卵かけご飯も、明太子も、レアな焼き加減のお肉も。本当は、かなり食べたいけど!」
乙葉さんは、うなりながらメニュー表を指差している。海鮮丼、明太子カルボナーラ、ローストビーフ丼……。ましろは、人気メニューのほとんどがダメということに驚いた。
「世の中、生ものが多いんだね。妊婦さんって、いっぱい我慢してるんだね」
「私は予定日の前日に、すき焼きを食べたの。その時、生卵を食べて、おなかを壊したから、最後まで油断しないことをオススメするわ。陣痛にプラスしての腹痛は、しんどいのよ~」
恩田さんの体験談に、ましろと乙葉さんはギョッとした。きっと、それは想像を絶するしんどさに違いない。
「食べちゃダメじゃん!」
「ほんと、うっかりなのよ。一人目の時、親が私を応援するために、大好物のすき焼きを用意してくれたのが、嬉しくてね~」
恩田さんは、懐かしそうに笑い飛ばすと、「乙葉ちゃん、要注意だからね」と念を押した。
そして今日は、おいしいカツオを魚屋さんで買えたのでオススメはカツオ漬け丼──、【浦島太郎の漁師飯】だ。
「これ、わたしも試食したよ! タレがね、ショウガとニンニクがきいてて、すっごくおいしいの!」
「うぅぅーん! 食べたい! でも、ダメ!」
ましろが勧めたけれど、乙葉さんは悔しそうに首を横に振った。
「食べたいなら、食べたらいいのに。どうして?」
ニンニクのにおいのせいかな、と思ったましろだったが、答えは恩田さんが教えてくれた。
「生ものを食べたらダメのよ。食中毒のリスクを避けるためにね。妊婦さんって免疫力が低くなってるから、普通の人より注意しないといけないの」
「そうなんだ! たしかに、おなか壊したらしんどいよね」
「そうよ。赤ちゃんも守らないといけない。でも、めったな薬は飲めないから困るのよ」
「お薬もダメなの?」
「大丈夫なものもあるけど、基本的にはね」
ましろは「へぇ!」と感心した。なんだか、とても賢くなった気分だ。
「だから、あたし我慢してるんだよ。大好きなお刺身も、卵かけご飯も、明太子も、レアな焼き加減のお肉も。本当は、かなり食べたいけど!」
乙葉さんは、うなりながらメニュー表を指差している。海鮮丼、明太子カルボナーラ、ローストビーフ丼……。ましろは、人気メニューのほとんどがダメということに驚いた。
「世の中、生ものが多いんだね。妊婦さんって、いっぱい我慢してるんだね」
「私は予定日の前日に、すき焼きを食べたの。その時、生卵を食べて、おなかを壊したから、最後まで油断しないことをオススメするわ。陣痛にプラスしての腹痛は、しんどいのよ~」
恩田さんの体験談に、ましろと乙葉さんはギョッとした。きっと、それは想像を絶するしんどさに違いない。
「食べちゃダメじゃん!」
「ほんと、うっかりなのよ。一人目の時、親が私を応援するために、大好物のすき焼きを用意してくれたのが、嬉しくてね~」
恩田さんは、懐かしそうに笑い飛ばすと、「乙葉ちゃん、要注意だからね」と念を押した。