ましろはりんごおじさんを見送ると、自分の部屋のベッドに倒れこんだ。なんだかどっと疲れてしまったようで、体がベッドに沈み込んで動かない。まるで鉛のようだ。
「もう、全部めんどくさい」
荷物の片付けも、学校の準備も、やらなきゃいけないことはたくさんあるのに、何もやりたくなかった。というか、お母さんがいなくなってからは、やりたいことなんて一つもなくなってしまった。
遊びも、勉強も、ご飯も、全部全部やりたくない……。何も、楽しくない……。
そんなことを考えているうちに、ましろのまぶたはゆっくりと重たくなっていった。
***
ましろが気がつくと、窓の外は夕焼け色に染まっていた。どうやら、いつの間にか寝てしまっていたらしい。
少し体が冷えていたので、キャリーバッグからレモン色のカーディガンを引っ張り出してから、ましろはそろそろとリビングに移動した。
「おなか、空い……」
独り言を言いかけて、ましろはびっくりしてしまった。
なんと、リビングは泥棒に入られたかのように散らかり放題な状況だったのだ。
「なっ、なにこれ!」
床には取り込んだまま放ったらかしの洗濯物、ソファにはたくさんの料理の本、棚の引き出しは半開き、テーブルにはノートが積み重なっている。
「うわぁ。りんごおじさんって、見かけによらず、だらしない人なんだ!」
スマートで真面目で賢そうなおじさんだったのに意外である。残念イケメンってやつかなの、ましろは思わず顔をしかめてしまった。
いろんな意味で、わたし、ここで生活できるか心配になってきた。
ましろは、あきれながら洗濯物の山を一生懸命に部屋のはしっこに寄せ、ようやくカウンターテーブルにたどり着くことができた。
すると、そのカウンターテーブルと、そこと対面しているキッチンだけは物がスッキリと片付けられていて、とてもきれいなことに気がついた。
「お料理を作って食べるのは大好きってことなのかな?」
レストランやってるくらいだもんね……と、そんなことを思いながら、ましろはカウンターテーブルの上にサンドイッチを見つけた。レタスとトマトの入ったハムサンドと、ゆでたまごとマヨネーズを混ぜたたまごサンドだ。
おいしそう。
なのに、手がのびない。食べたくない。
最近は、ずっとそうだった。
「もう、全部めんどくさい」
荷物の片付けも、学校の準備も、やらなきゃいけないことはたくさんあるのに、何もやりたくなかった。というか、お母さんがいなくなってからは、やりたいことなんて一つもなくなってしまった。
遊びも、勉強も、ご飯も、全部全部やりたくない……。何も、楽しくない……。
そんなことを考えているうちに、ましろのまぶたはゆっくりと重たくなっていった。
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ましろが気がつくと、窓の外は夕焼け色に染まっていた。どうやら、いつの間にか寝てしまっていたらしい。
少し体が冷えていたので、キャリーバッグからレモン色のカーディガンを引っ張り出してから、ましろはそろそろとリビングに移動した。
「おなか、空い……」
独り言を言いかけて、ましろはびっくりしてしまった。
なんと、リビングは泥棒に入られたかのように散らかり放題な状況だったのだ。
「なっ、なにこれ!」
床には取り込んだまま放ったらかしの洗濯物、ソファにはたくさんの料理の本、棚の引き出しは半開き、テーブルにはノートが積み重なっている。
「うわぁ。りんごおじさんって、見かけによらず、だらしない人なんだ!」
スマートで真面目で賢そうなおじさんだったのに意外である。残念イケメンってやつかなの、ましろは思わず顔をしかめてしまった。
いろんな意味で、わたし、ここで生活できるか心配になってきた。
ましろは、あきれながら洗濯物の山を一生懸命に部屋のはしっこに寄せ、ようやくカウンターテーブルにたどり着くことができた。
すると、そのカウンターテーブルと、そこと対面しているキッチンだけは物がスッキリと片付けられていて、とてもきれいなことに気がついた。
「お料理を作って食べるのは大好きってことなのかな?」
レストランやってるくらいだもんね……と、そんなことを思いながら、ましろはカウンターテーブルの上にサンドイッチを見つけた。レタスとトマトの入ったハムサンドと、ゆでたまごとマヨネーズを混ぜたたまごサンドだ。
おいしそう。
なのに、手がのびない。食べたくない。
最近は、ずっとそうだった。



