ましろは十年間生きてきて、料理上手なお母さんやりんごおじさんに甘えてきたため、料理を真剣にやったことはなかったのだ。
「ま、二人ならなんとかなるよ。あたしはニンニクとショウガを切るから、ましろは玉ねぎよろしく!」
「う、うん」
気は進まないけれど、来たからにはやるしかない。ましろは包丁を握ると、目に涙を浮かべながら慎重に慎重に玉ねぎに切り込みを入れた。
「たしか、りんごおじさんはこうやってた」
さっきスクリーンで見たりんごおじさんを思い出しながら、サクッ……サクッ……と包丁を動かす。一応、玉ねぎは小さな四角形になっていると思う。
「がんばれー! ましろ!」
とっくに自分の分担を終えた桃奈に応援されて、ましろは一生懸命に玉ねぎを切り続ける。
「うぅっ。目が痛いよ」
「ましろさん、大丈夫ですか?」
「わっ! りんごおじさん!」
ましろがハンカチで涙を拭っていると、気づかぬ間にりんごおじさんが真横に来ていた。どうやら、子どもたちの料理の進み具合を見て回っているらしい。
「玉ねぎは、包丁の入れ方によって、目に染みにくくなるんですよ。ちょっと、貸してみてください」
「いっ、いいよ。別に、涙が出ても平気だし!」
ましろは、りんごおじさんに泣き顔を見られたくなくて、慌てて背中を向けた。そして、それと同時に、他の調理台にいる女の子がりんごおじさんを大声で呼んだ。
「白雪せんせ~! 茉莉花のみじん切り、ちゃんとできてるか見てくださ~い!」
かわいいピンク色のエプロンをつけた、ツインテールの女の子だ。小学校の廊下で見かけたことがある。多分、おとぎ小学校の六年生だろう。
「りんごおじさん、早く行ってあげなよ。呼ばれてるよ」
「……分かりました。ましろさん、桃奈さんも何かあったら言ってくださいね」
りんごおじさんは少しさみしそうな顔をすると、茉莉花という女の子の方に歩いて行った。
「砂原さん、上手にできていますね」
「やったー! 白雪せんせえにほめられちゃった!」
ましろがチラッと見ると、茉莉花はキャッキャとはしゃいでいた。なんだかキラキラした子だ。
「ましろ、砂原茉莉花のこと気になるの?」
ましろの視線に気がついた桃奈も、茉莉花のことを見つめていた。
「いや! 別に? 楽しそうにしてるなーって」
「ま、二人ならなんとかなるよ。あたしはニンニクとショウガを切るから、ましろは玉ねぎよろしく!」
「う、うん」
気は進まないけれど、来たからにはやるしかない。ましろは包丁を握ると、目に涙を浮かべながら慎重に慎重に玉ねぎに切り込みを入れた。
「たしか、りんごおじさんはこうやってた」
さっきスクリーンで見たりんごおじさんを思い出しながら、サクッ……サクッ……と包丁を動かす。一応、玉ねぎは小さな四角形になっていると思う。
「がんばれー! ましろ!」
とっくに自分の分担を終えた桃奈に応援されて、ましろは一生懸命に玉ねぎを切り続ける。
「うぅっ。目が痛いよ」
「ましろさん、大丈夫ですか?」
「わっ! りんごおじさん!」
ましろがハンカチで涙を拭っていると、気づかぬ間にりんごおじさんが真横に来ていた。どうやら、子どもたちの料理の進み具合を見て回っているらしい。
「玉ねぎは、包丁の入れ方によって、目に染みにくくなるんですよ。ちょっと、貸してみてください」
「いっ、いいよ。別に、涙が出ても平気だし!」
ましろは、りんごおじさんに泣き顔を見られたくなくて、慌てて背中を向けた。そして、それと同時に、他の調理台にいる女の子がりんごおじさんを大声で呼んだ。
「白雪せんせ~! 茉莉花のみじん切り、ちゃんとできてるか見てくださ~い!」
かわいいピンク色のエプロンをつけた、ツインテールの女の子だ。小学校の廊下で見かけたことがある。多分、おとぎ小学校の六年生だろう。
「りんごおじさん、早く行ってあげなよ。呼ばれてるよ」
「……分かりました。ましろさん、桃奈さんも何かあったら言ってくださいね」
りんごおじさんは少しさみしそうな顔をすると、茉莉花という女の子の方に歩いて行った。
「砂原さん、上手にできていますね」
「やったー! 白雪せんせえにほめられちゃった!」
ましろがチラッと見ると、茉莉花はキャッキャとはしゃいでいた。なんだかキラキラした子だ。
「ましろ、砂原茉莉花のこと気になるの?」
ましろの視線に気がついた桃奈も、茉莉花のことを見つめていた。
「いや! 別に? 楽しそうにしてるなーって」



