「ましろは、よっぽど楽しみにしてたんだね。でも、あんなに優しい店長さんを困らせたらダメだよ」
「りんごおじさんは、料理以外ぜんぜんダメなんだよ! ぼんやりしてるし、機械も分からないし、家事もできないし」
「あっ。ましろ、始まるよ!」
ましろがりんごおじさんのダメなところを挙げていると、料理教室の始まる時間になったようで、りんごおじさんが料理の説明を始めた。
「今日は《りんごの木》のメニューのひとつ──【千夜一夜の焼きカレーパン】を作ります。といっても、パンの生地は時間がかかるので、あらかじめ用意しています。なので、今から中身のカレーを作りますよ!」
カレーパンだとーっ!
ましろは、木曜日に食べ損ねたカレーパンのことを思い出した。あの時から、ずーっと食べたくてたまらなかったのだ。それを、まさか料理教室で作ることになるなんて、思っていなかった。
ましろは、カレーパンが大好きだ。パン屋さんに行ったら、必ず買ってしまう。とくに、熱々サクサクとしたできたては、たまらなく好きだ。甘口でも中辛でも、ゆで卵入りでも、具材ごろごろでも、とにかくましろはカレーパンを愛している。
けれど、自分が喜んでいることを、りんごおじさんにバレることは悔しい。
「ふぅん。いいんじゃない。子どもは好きなんじゃない? カレーパン」
ツンと澄ました表情で、ましろは料理の説明を聞いていた。
「まずは、材料を切りましょうね。玉ねぎとニンニク、ショウガをみじん切りにします。今から僕がやってみるので、スクリーンを見てくださいね」
りんごおじさんの調理台はビデオカメラで撮影されていて、その映像が壁に吊るされているスクリーンに映し出されている。そして子どもたちはそれを見て、二人一組で調理を進めていくというわけだ。
「ましろ、料理できるの?」
「スクランブルエッグは、得意……」
ペアの桃奈にたずねられて、ましろは顔をしかめた。できるかと言われれば、本当はできないのだ。
ちなみにましろがどれくらい料理ができないかというと、野菜を切れば大きさがバラバラ。お肉を焼けば、生焼けか黒こげ。くるくるたまご焼きは、スクランブルエッグになってしまうし、味付けは濃いか薄いか極端だ。
「りんごおじさんは、料理以外ぜんぜんダメなんだよ! ぼんやりしてるし、機械も分からないし、家事もできないし」
「あっ。ましろ、始まるよ!」
ましろがりんごおじさんのダメなところを挙げていると、料理教室の始まる時間になったようで、りんごおじさんが料理の説明を始めた。
「今日は《りんごの木》のメニューのひとつ──【千夜一夜の焼きカレーパン】を作ります。といっても、パンの生地は時間がかかるので、あらかじめ用意しています。なので、今から中身のカレーを作りますよ!」
カレーパンだとーっ!
ましろは、木曜日に食べ損ねたカレーパンのことを思い出した。あの時から、ずーっと食べたくてたまらなかったのだ。それを、まさか料理教室で作ることになるなんて、思っていなかった。
ましろは、カレーパンが大好きだ。パン屋さんに行ったら、必ず買ってしまう。とくに、熱々サクサクとしたできたては、たまらなく好きだ。甘口でも中辛でも、ゆで卵入りでも、具材ごろごろでも、とにかくましろはカレーパンを愛している。
けれど、自分が喜んでいることを、りんごおじさんにバレることは悔しい。
「ふぅん。いいんじゃない。子どもは好きなんじゃない? カレーパン」
ツンと澄ました表情で、ましろは料理の説明を聞いていた。
「まずは、材料を切りましょうね。玉ねぎとニンニク、ショウガをみじん切りにします。今から僕がやってみるので、スクリーンを見てくださいね」
りんごおじさんの調理台はビデオカメラで撮影されていて、その映像が壁に吊るされているスクリーンに映し出されている。そして子どもたちはそれを見て、二人一組で調理を進めていくというわけだ。
「ましろ、料理できるの?」
「スクランブルエッグは、得意……」
ペアの桃奈にたずねられて、ましろは顔をしかめた。できるかと言われれば、本当はできないのだ。
ちなみにましろがどれくらい料理ができないかというと、野菜を切れば大きさがバラバラ。お肉を焼けば、生焼けか黒こげ。くるくるたまご焼きは、スクランブルエッグになってしまうし、味付けは濃いか薄いか極端だ。



