ましろは大急ぎでエプロンを付けると、バックヤードからお店に移動した。
シエラちゃんの接客は、シエラ派のわたしがしないと!
「アリス君! ここはわたしが!」
「お前、ミスするかもしれないし、オレが行くって」
「アリス君はアスタ派なんだから、ゆずってよ!」
「いやいや。シエラからアスタの話聞けるかもしれないし」
お店のすみっこで、どちらがシエラを接客するかで言い争いになってしまった。けれど、ましろもアリス君も譲らないおじさんの声が飛んで来た。
とても穏やかな口調で、口もにっこりしていたけれど、メガネがギラリと光っていて、どんな目をしているのか見えない。ましろの体が無意識にぶるっと震えたので、多分、笑っていない目をしていたのだろう。
結局、ましろとアリス君はジャンケンをして、勝ったましろがシエラの注文を聞きに行くことになった。
「いらっしゃいませ! あの、灰咲シエラちゃんですよねっ……?」
「うそっ! なんでバレちゃったの?」
ナマで見るシエラは、とにかくかわいかった。小顔でスリム。金色の髪と青い目がキラキラしていて、絵本のプリンセスみたいだ。十八歳らしいけれど、テレビで見るよりも少し大人っぽく見える。メガネをかけて変装しているつもりかもしれないが、丸分かりだ。
「まぁ、いっか。めっちゃかわいい店員さん、注文いい?」
「あっ、あわわ……! やっぱりホンモノ!」
「そんなに緊張しないでよ~。いじめたりしないし」
シエラはクスクスと笑うと、メニュー表をぱたんと閉じた。
「シエラ、【本日のサラダランチ】にするね! かわいい店員さん、よかったら一緒に食べよ?」
「かっ、かしこまり……。えぇっ!」
予想もしないシエラの提案に、ましろはびっくりしてしまった。
シエラちゃんに誘われた!
とても嬉しいけれど、これは店長に確認しないといけないだろう。ましろは「ちょっと待ってください」とシエラに告げると、キッチンのりんごおじさんの所にすっ飛んでいった。
すると意外にも、りんごおじさんはすんなりとオッケーしてくれた。
「他のお客さんも、もう帰られるところですから。一応エプロンを脱いで……。あっ! ましろさんの分のランチも用意します。それと、お客さんのお話をしっかり聞くように」
「やったー!」
シエラちゃんの接客は、シエラ派のわたしがしないと!
「アリス君! ここはわたしが!」
「お前、ミスするかもしれないし、オレが行くって」
「アリス君はアスタ派なんだから、ゆずってよ!」
「いやいや。シエラからアスタの話聞けるかもしれないし」
お店のすみっこで、どちらがシエラを接客するかで言い争いになってしまった。けれど、ましろもアリス君も譲らないおじさんの声が飛んで来た。
とても穏やかな口調で、口もにっこりしていたけれど、メガネがギラリと光っていて、どんな目をしているのか見えない。ましろの体が無意識にぶるっと震えたので、多分、笑っていない目をしていたのだろう。
結局、ましろとアリス君はジャンケンをして、勝ったましろがシエラの注文を聞きに行くことになった。
「いらっしゃいませ! あの、灰咲シエラちゃんですよねっ……?」
「うそっ! なんでバレちゃったの?」
ナマで見るシエラは、とにかくかわいかった。小顔でスリム。金色の髪と青い目がキラキラしていて、絵本のプリンセスみたいだ。十八歳らしいけれど、テレビで見るよりも少し大人っぽく見える。メガネをかけて変装しているつもりかもしれないが、丸分かりだ。
「まぁ、いっか。めっちゃかわいい店員さん、注文いい?」
「あっ、あわわ……! やっぱりホンモノ!」
「そんなに緊張しないでよ~。いじめたりしないし」
シエラはクスクスと笑うと、メニュー表をぱたんと閉じた。
「シエラ、【本日のサラダランチ】にするね! かわいい店員さん、よかったら一緒に食べよ?」
「かっ、かしこまり……。えぇっ!」
予想もしないシエラの提案に、ましろはびっくりしてしまった。
シエラちゃんに誘われた!
とても嬉しいけれど、これは店長に確認しないといけないだろう。ましろは「ちょっと待ってください」とシエラに告げると、キッチンのりんごおじさんの所にすっ飛んでいった。
すると意外にも、りんごおじさんはすんなりとオッケーしてくれた。
「他のお客さんも、もう帰られるところですから。一応エプロンを脱いで……。あっ! ましろさんの分のランチも用意します。それと、お客さんのお話をしっかり聞くように」
「やったー!」