ましろはこれまで、おじいちゃんとおばあちゃんのお家にはゴールデンウィークとお盆休み、お正月に遊びに行っていた。そして行くたびに、おじいちゃんたちはバーベキューや流しそうめん、焼きいもやお餅つきなどの美味しいイベントを開いてくれた。
楽しかったなぁ。
ましろは、《りんごの木》のバックヤードでモヤモヤをはき出すようにため息をついた。
先日、田舎のおじいちゃんから電話がかかって来たのだ。
「いつでも遊びにおいで。大歓迎だぞ! ましろちゃんのために、アイスクリームを作る機械を買ったんだよ」
おじいちゃんは、ましろのことが大好きだ。おばあちゃんやお母さんにはちょっと厳しいけれど、ましろにはとても甘い。
「わぁ! 楽しみ! じゃあ、今度りんごおじさんと遊びに行くね」
「あぁ。もし凛悟のお店が忙しいようなら、ましろちゃんだけでも来ていいぞ」
「わたし、お店のウエイトレスさんだから、りんごおじさんと相談しないといけないよ」
「なっ⁈ ましろちゃん、凛悟に無理矢理働かされてるのか⁈ 許せん!」
ましろがお店の話をすると、急におじいちゃんの怒りのスイッチが入ってしまった。こうなると、おじいちゃんは話を聞いてくれない。
ましろは「違うよ! わたしがお願いしたんだよ!」と大慌てで説明をしたが、結局りんごおじさんに電話を代わることになってしまった。
そして、りんごおじさんは一生懸命に説明を繰り返し、すっかりエネルギーを使い果たして電話を切った……、ということがあったのだ。
思い出すだけで、なんだか疲れる。
おばあちゃんと話そびれちゃったし。
お母さんのお葬式で、一番泣いていたのはおばあちゃんだった。何度も何度も、お母さんの名前を呼んでいた。
おばあちゃん、元気かなぁ……。
その時、バックヤードのドアが細く開いて、ひょこっとアリス君が顔を出した。
「おい。休憩終わったか……! すげぇぞ! 灰咲シエラが来た!」
「え! ホントに?」
ましろは、驚いて飛び上がりそうになった。
灰咲シエラは、最近テレビでよく見る美人ハーフモデルだ。双子の姉である灰咲アスタに続いて芸能界デビューし、仲良し姉妹としても有名だ。
「わたし、シエラちゃん好き!」
クラスでも灰咲姉妹は大人気で、クールビューティで演技派なアスタ派か、明るく元気なシエラ派かで盛り上がったことがある。ましろはどちらもかわいくて大好きだが、どちらかと言われると、よくニコニコと笑っているシエラのファンだ。
「オレはアスタ派だ。シエラって、ちょっとアホっぽくね?」
「アリス君、失礼だよ! シエラちゃんはそこがかわいいんだよ!」
楽しかったなぁ。
ましろは、《りんごの木》のバックヤードでモヤモヤをはき出すようにため息をついた。
先日、田舎のおじいちゃんから電話がかかって来たのだ。
「いつでも遊びにおいで。大歓迎だぞ! ましろちゃんのために、アイスクリームを作る機械を買ったんだよ」
おじいちゃんは、ましろのことが大好きだ。おばあちゃんやお母さんにはちょっと厳しいけれど、ましろにはとても甘い。
「わぁ! 楽しみ! じゃあ、今度りんごおじさんと遊びに行くね」
「あぁ。もし凛悟のお店が忙しいようなら、ましろちゃんだけでも来ていいぞ」
「わたし、お店のウエイトレスさんだから、りんごおじさんと相談しないといけないよ」
「なっ⁈ ましろちゃん、凛悟に無理矢理働かされてるのか⁈ 許せん!」
ましろがお店の話をすると、急におじいちゃんの怒りのスイッチが入ってしまった。こうなると、おじいちゃんは話を聞いてくれない。
ましろは「違うよ! わたしがお願いしたんだよ!」と大慌てで説明をしたが、結局りんごおじさんに電話を代わることになってしまった。
そして、りんごおじさんは一生懸命に説明を繰り返し、すっかりエネルギーを使い果たして電話を切った……、ということがあったのだ。
思い出すだけで、なんだか疲れる。
おばあちゃんと話そびれちゃったし。
お母さんのお葬式で、一番泣いていたのはおばあちゃんだった。何度も何度も、お母さんの名前を呼んでいた。
おばあちゃん、元気かなぁ……。
その時、バックヤードのドアが細く開いて、ひょこっとアリス君が顔を出した。
「おい。休憩終わったか……! すげぇぞ! 灰咲シエラが来た!」
「え! ホントに?」
ましろは、驚いて飛び上がりそうになった。
灰咲シエラは、最近テレビでよく見る美人ハーフモデルだ。双子の姉である灰咲アスタに続いて芸能界デビューし、仲良し姉妹としても有名だ。
「わたし、シエラちゃん好き!」
クラスでも灰咲姉妹は大人気で、クールビューティで演技派なアスタ派か、明るく元気なシエラ派かで盛り上がったことがある。ましろはどちらもかわいくて大好きだが、どちらかと言われると、よくニコニコと笑っているシエラのファンだ。
「オレはアスタ派だ。シエラって、ちょっとアホっぽくね?」
「アリス君、失礼だよ! シエラちゃんはそこがかわいいんだよ!」