ましろは、一生懸命に覚えた料理の説明を言うことができて一安心した。思わず笑顔になる。
「付け合わせのパンもありますよ」
りんごおじさんが、キッチンからパンの入ったカゴを持って現れた。
《りんごの木》は人出が足りないので、パンはめったに焼かない。その代わり、近所のパン屋さんからとてもおいしいパンを買っているのだ。
パンからはこんがりといい香りがしいて、あのスープにひたして食べたらすごく美味しそうだなぁと、ましろは思わず想像してしまう。
「白雪さん。本当にありがとうございます。お店、お休みの日なのに」
「僕がお招きしたんですから、今日は楽しく食事をしてください。琥太郎君が手伝ってくれたので、とってもおいしいんです。きっと、お父さんも好きな味だと思いますよ」
琥太郎君のお父さんは、りんごおじさんの言葉に目を丸くした。
「琥太郎が? お前、家では料理なんてぜんぜん……」
「料理って、けっこう面白いじゃん。おれ、これからがんばってみようかなー……なんて。父ちゃんも、仕事から帰って来たら食べるよな?」
「琥太郎ぅぅぅーっ!」
琥太郎君のお父さんは、今度は目をうるうるさせて、琥太郎君を抱きしめた。そして琥太郎君は、ましろたちのことを気にして恥ずかしそうにしているけれど、嫌がってはいない様子だった。
なんだか、琥太郎君の雰囲気が優しくなった感じがする。
わたしが外に出ている間に、何かあった……?
「りんごおじさん、琥太郎君と特別な話でもしたの?」
「そうですねぇ。姉さん……、ましろさんのお母さんの話をしましたよ。ひとり親だと、時間のやりくりが難しくて、さみしいこともある。でも、愛情はどこの家にも負けない! と、電話で聞いたことがあって」
ましろはキッチンから金崎親子を見守りながら、驚いていた。
お母さんがそんなことを言ってたなんて!
「そっか。そうだよね。お母さんは、とびっきり、わたしを大切にしてくれてた」
ましろはほんの少しでも、「わたしがいなければ、お母さんは自由だったんじゃないか」なんて考えてしまったことを反省した。お母さんの優しい声も、ぬくもりも、笑顔も、全てが今のましろを作ってくれた。
それは、まぎれもない愛だ。
「付け合わせのパンもありますよ」
りんごおじさんが、キッチンからパンの入ったカゴを持って現れた。
《りんごの木》は人出が足りないので、パンはめったに焼かない。その代わり、近所のパン屋さんからとてもおいしいパンを買っているのだ。
パンからはこんがりといい香りがしいて、あのスープにひたして食べたらすごく美味しそうだなぁと、ましろは思わず想像してしまう。
「白雪さん。本当にありがとうございます。お店、お休みの日なのに」
「僕がお招きしたんですから、今日は楽しく食事をしてください。琥太郎君が手伝ってくれたので、とってもおいしいんです。きっと、お父さんも好きな味だと思いますよ」
琥太郎君のお父さんは、りんごおじさんの言葉に目を丸くした。
「琥太郎が? お前、家では料理なんてぜんぜん……」
「料理って、けっこう面白いじゃん。おれ、これからがんばってみようかなー……なんて。父ちゃんも、仕事から帰って来たら食べるよな?」
「琥太郎ぅぅぅーっ!」
琥太郎君のお父さんは、今度は目をうるうるさせて、琥太郎君を抱きしめた。そして琥太郎君は、ましろたちのことを気にして恥ずかしそうにしているけれど、嫌がってはいない様子だった。
なんだか、琥太郎君の雰囲気が優しくなった感じがする。
わたしが外に出ている間に、何かあった……?
「りんごおじさん、琥太郎君と特別な話でもしたの?」
「そうですねぇ。姉さん……、ましろさんのお母さんの話をしましたよ。ひとり親だと、時間のやりくりが難しくて、さみしいこともある。でも、愛情はどこの家にも負けない! と、電話で聞いたことがあって」
ましろはキッチンから金崎親子を見守りながら、驚いていた。
お母さんがそんなことを言ってたなんて!
「そっか。そうだよね。お母さんは、とびっきり、わたしを大切にしてくれてた」
ましろはほんの少しでも、「わたしがいなければ、お母さんは自由だったんじゃないか」なんて考えてしまったことを反省した。お母さんの優しい声も、ぬくもりも、笑顔も、全てが今のましろを作ってくれた。
それは、まぎれもない愛だ。



