ましろは、琥太郎君のトゲトゲしい言葉に、琥太郎君のお父さんが一瞬泣きそうな顔になったこと、そして琥太郎君も同じく泣きそうな顔をしていることに気がついた。
琥太郎君も琥太郎君のお父さんも、悲しそう。
けれどましろはどうしたらいいか分からず、助けを求めてりんごおじさんを探した。そして、教室のすみっこにいたりんごおじさんと目が合うと、りんごおじさんはコックリとうなずいて笑った。
「はい! そこまでにしましょう!」
りんごおじさんは、教室中に聞こえる大きな声で言った。
「お父さんは遅刻しちゃいましたけど、きっと事情があるんですよね? きちんと話して、仲直りするのに、ぴったりな場所がありますよ!」
キラリとメガネが光った。
とつぜん話出したりんごおじさんに、金崎親子も先生もクラスメイトも、授業参観に来ていたお母さんたちも、大注目していた。そして、「もしかして……」というましろの予想は大当たりした。
「ファミリーレストラン《りんごの木》で、おいしいものでも食べながら、お話しするのはいかがですか?」
***
今日はお休みなので、ファミリーレストラン《りんごの木》は、シン……と静かだ。
アリス君は、お店の二階から《かがみ屋》のお家に帰ったし、お客さんもいない。いるのは、ましろとりんごおじさん、そして琥太郎君だけだ。
「本日のおすすめデザート【桃太郎のピーチタルト】です。どうぞ」
ましろは、琥太郎君の前にそっとお皿を置いた。
桃奈の家の果物屋さんから仕入れた桃で作ったピーチタルトだ。
アリス君によると、「ヨーグルトクリームの酸味と桃の甘さが絶妙にマッチ」していて、「小さいタルト台をひとつひとつ焼いているから、見た目もきれい」だそうだ。たしかに切り分けていないから、タルトカップの中の桃は花びらのようにきれいなままだ。
「白雪も白雪のおじさんも、すみません。おれと父ちゃんのケンカに巻き込んじゃって」
落ち着いた琥太郎君は、とても申し訳なさそうにしながらピーチタルトを食べている。「うまっ!」と何度も言っているので、気に入ってくれたようだ。
「きっと、おいしいご飯を食べながらなら、お父さんとも仲直りできますよ。早くお父さん、来られるといいですね」
琥太郎君も琥太郎君のお父さんも、悲しそう。
けれどましろはどうしたらいいか分からず、助けを求めてりんごおじさんを探した。そして、教室のすみっこにいたりんごおじさんと目が合うと、りんごおじさんはコックリとうなずいて笑った。
「はい! そこまでにしましょう!」
りんごおじさんは、教室中に聞こえる大きな声で言った。
「お父さんは遅刻しちゃいましたけど、きっと事情があるんですよね? きちんと話して、仲直りするのに、ぴったりな場所がありますよ!」
キラリとメガネが光った。
とつぜん話出したりんごおじさんに、金崎親子も先生もクラスメイトも、授業参観に来ていたお母さんたちも、大注目していた。そして、「もしかして……」というましろの予想は大当たりした。
「ファミリーレストラン《りんごの木》で、おいしいものでも食べながら、お話しするのはいかがですか?」
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今日はお休みなので、ファミリーレストラン《りんごの木》は、シン……と静かだ。
アリス君は、お店の二階から《かがみ屋》のお家に帰ったし、お客さんもいない。いるのは、ましろとりんごおじさん、そして琥太郎君だけだ。
「本日のおすすめデザート【桃太郎のピーチタルト】です。どうぞ」
ましろは、琥太郎君の前にそっとお皿を置いた。
桃奈の家の果物屋さんから仕入れた桃で作ったピーチタルトだ。
アリス君によると、「ヨーグルトクリームの酸味と桃の甘さが絶妙にマッチ」していて、「小さいタルト台をひとつひとつ焼いているから、見た目もきれい」だそうだ。たしかに切り分けていないから、タルトカップの中の桃は花びらのようにきれいなままだ。
「白雪も白雪のおじさんも、すみません。おれと父ちゃんのケンカに巻き込んじゃって」
落ち着いた琥太郎君は、とても申し訳なさそうにしながらピーチタルトを食べている。「うまっ!」と何度も言っているので、気に入ってくれたようだ。
「きっと、おいしいご飯を食べながらなら、お父さんとも仲直りできますよ。早くお父さん、来られるといいですね」



