「ベビーカステラがあるよ!」
「僕、あれ好きなんです。買っちゃいましょう」
「くじ引きしたい……。ゲーム機当たるかも」
「う~ん。その確率はしぶいですね」
同じ景色を見て、二人で食べて、二人で笑う。
他愛もない会話が楽しくて、心が踊った。
この時間がいつまでも続けばいいと思うけれど、この先の楽しいことも見てみたい。
ましろは、そんなことを思って歩いていた。
「ましろさん。ここが、土地神様がいらっしゃる神社ですよ」
いつの間にか、おとぎ商店街を抜けて、小さな神社の前に来ていた。いつもはひっそりとしていて通り過ぎてしまうような場所だけれど、今日はたくさんの人が参拝に来ているようだった。
「御伽ノ天月様という、食を司る神様らしいですよ」
「へぇ。御伽ノ天月様かぁ……」
たしか、御伽祭は土地神様にひとつお願い事をするお祭りだったはずだ。レストランをしているましろたちからすると、食の神様とは縁起がいい。
「お願い、していきましょうか」
りんごおじさんに促され、ましろは御伽ノ天月様の像と賽銭箱の前にやって来た。
お金を入れて、パンパンッと、りんごおじさんの真似をして礼と拍手をする。そして、目をつぶり手を合わせた。
御伽ノ天月様、お願いします──。
「りんごおじさん、何をお願いしたの?」
境内から出た後、ましろはりんごおじさんにたずねた。
すでに空は濃い藍色に染まっていて、月明かりがましろたちを照らしていた。その優しい明るさの中を、二人はゆっくりと歩んで行く。
「内緒ですよ。お願い事は、口にしたら叶わなくなってしまいますから」
「じゃあ、わたしもナイショだ!」
ましろは「ふふっ」と小さく笑うと、りんごおじさんの手を取り、ぐいっと引いて走り出した。
「《りんごの木》に戻ろう! お客さんたちが待ってる!」
「あっ! ましろさん、走ったら危ないですよ!」
ましろの願い事。それは、大切な願い──。
りんごおじさんと、ずっと『家族』でいられますように。
「僕、あれ好きなんです。買っちゃいましょう」
「くじ引きしたい……。ゲーム機当たるかも」
「う~ん。その確率はしぶいですね」
同じ景色を見て、二人で食べて、二人で笑う。
他愛もない会話が楽しくて、心が踊った。
この時間がいつまでも続けばいいと思うけれど、この先の楽しいことも見てみたい。
ましろは、そんなことを思って歩いていた。
「ましろさん。ここが、土地神様がいらっしゃる神社ですよ」
いつの間にか、おとぎ商店街を抜けて、小さな神社の前に来ていた。いつもはひっそりとしていて通り過ぎてしまうような場所だけれど、今日はたくさんの人が参拝に来ているようだった。
「御伽ノ天月様という、食を司る神様らしいですよ」
「へぇ。御伽ノ天月様かぁ……」
たしか、御伽祭は土地神様にひとつお願い事をするお祭りだったはずだ。レストランをしているましろたちからすると、食の神様とは縁起がいい。
「お願い、していきましょうか」
りんごおじさんに促され、ましろは御伽ノ天月様の像と賽銭箱の前にやって来た。
お金を入れて、パンパンッと、りんごおじさんの真似をして礼と拍手をする。そして、目をつぶり手を合わせた。
御伽ノ天月様、お願いします──。
「りんごおじさん、何をお願いしたの?」
境内から出た後、ましろはりんごおじさんにたずねた。
すでに空は濃い藍色に染まっていて、月明かりがましろたちを照らしていた。その優しい明るさの中を、二人はゆっくりと歩んで行く。
「内緒ですよ。お願い事は、口にしたら叶わなくなってしまいますから」
「じゃあ、わたしもナイショだ!」
ましろは「ふふっ」と小さく笑うと、りんごおじさんの手を取り、ぐいっと引いて走り出した。
「《りんごの木》に戻ろう! お客さんたちが待ってる!」
「あっ! ましろさん、走ったら危ないですよ!」
ましろの願い事。それは、大切な願い──。
りんごおじさんと、ずっと『家族』でいられますように。