ましろはポツリとつぶやいて、リンゴジュースをひと口吸った。
すると突然、爽やかな甘さが口の中を通り抜けていき、ましろは思わず目を丸くした。
「あれ? すっごく美味しい!」
久しぶりの甘い味に、ましろの体はびっくりして飛び上がるかと思ったほどだ。
てっきり、あのクッキーみたいに味がしないと思ったのに……。
「かんちがいじゃないよね? ね?」
「料理も口に合うとうれしいんですが」
ましろがもう一度リンゴジュースを飲もうとした時、りんごおじさんが料理のお皿を二つ持ってやって来た。
小さな木のカゴに入ったパンと、きれいな黄色のソースがかけられたチキンステーキだった。
「あれ。これって……」と、ましろはりんごおじさんを見上げた。
「【白雪りんごのチキンステーキ】です。召し上がれ」
もしかして、と胸がざわつく。
「いただきます」
ましろは、ナイフとフォークでお肉をひと口サイズにすると、それをぱくりと口に入れた。
「ん!」
鶏もも肉が外はカリカリ。なかはとてもジューシーで、噛むたびに肉汁が口いっぱいに広がる。けれど、しつこくないのは甘ずっぱいソースのおかげだ。
「わたし、知ってます。りんごとニンニクとショウガとはちみつのソース、ですよね?」
ましろの瞳に、じんわりと涙が溢れてきた。悲しくて泣けてきたわけではない。懐かしくて、嬉しくて泣けてきたのだ。
「おいしい……。お母さんと、同じ味がする」
お母さんが、お誕生日やクリスマスの時など、お祝い事のたびに作ってくれた料理――大好きなりんごソースのチキンステーキだった。
「やっぱり姉さんも作っていましたか。僕も大好きなんです、これ」
りんごおじさんはニコッと笑うと、赤色のエプロンを外して、ましろの正面の席に腰かけた。
「今日からは、僕がましろさんとご飯を食べます。ご飯は、『家族』といっしょに食べると、いっそう美味しいですから」
ましろの胸に、『家族』という言葉がふんわりと優しく入って来た。そして、あたたかく溶けていく。
「りんごおじさん、わたしの『家族』になってくれるんですか?」
「はい」
「ご飯、いっしょに食べてくれるんですか?」
「はい」
すると突然、爽やかな甘さが口の中を通り抜けていき、ましろは思わず目を丸くした。
「あれ? すっごく美味しい!」
久しぶりの甘い味に、ましろの体はびっくりして飛び上がるかと思ったほどだ。
てっきり、あのクッキーみたいに味がしないと思ったのに……。
「かんちがいじゃないよね? ね?」
「料理も口に合うとうれしいんですが」
ましろがもう一度リンゴジュースを飲もうとした時、りんごおじさんが料理のお皿を二つ持ってやって来た。
小さな木のカゴに入ったパンと、きれいな黄色のソースがかけられたチキンステーキだった。
「あれ。これって……」と、ましろはりんごおじさんを見上げた。
「【白雪りんごのチキンステーキ】です。召し上がれ」
もしかして、と胸がざわつく。
「いただきます」
ましろは、ナイフとフォークでお肉をひと口サイズにすると、それをぱくりと口に入れた。
「ん!」
鶏もも肉が外はカリカリ。なかはとてもジューシーで、噛むたびに肉汁が口いっぱいに広がる。けれど、しつこくないのは甘ずっぱいソースのおかげだ。
「わたし、知ってます。りんごとニンニクとショウガとはちみつのソース、ですよね?」
ましろの瞳に、じんわりと涙が溢れてきた。悲しくて泣けてきたわけではない。懐かしくて、嬉しくて泣けてきたのだ。
「おいしい……。お母さんと、同じ味がする」
お母さんが、お誕生日やクリスマスの時など、お祝い事のたびに作ってくれた料理――大好きなりんごソースのチキンステーキだった。
「やっぱり姉さんも作っていましたか。僕も大好きなんです、これ」
りんごおじさんはニコッと笑うと、赤色のエプロンを外して、ましろの正面の席に腰かけた。
「今日からは、僕がましろさんとご飯を食べます。ご飯は、『家族』といっしょに食べると、いっそう美味しいですから」
ましろの胸に、『家族』という言葉がふんわりと優しく入って来た。そして、あたたかく溶けていく。
「りんごおじさん、わたしの『家族』になってくれるんですか?」
「はい」
「ご飯、いっしょに食べてくれるんですか?」
「はい」



