ハンバーガーチェーン店からの帰り道。
途中で悟と別れたので1人で道を歩く。
自分の感情で決めつけないと決心したはずなのに、頭の中では正直な自分が否定を続けている。
悶々とする中で1人歩く道のりは遠くて重かった。
俺は分かれ道で止まってスマホを取り出して時間を確認する。
今日は早めに授業が学校が終わって、2時に下校。
3時になる頃にチェーン店から出たので時間が有り余っている。
家に帰って勉強。
と言いたいところだったが、そんな気力は今の俺には無かった。
俺はスマホを閉まって家の方向に向かう道ではなく違う道を選んでまた歩き出す。
古びたカラオケ店がある方向だった。
しばらく歩いて行くと初めて鈴木先輩と会った場所に辿り着く。
今日は鈴木先輩は居なかった。
向かっている時から歌声は聞こえなかったから居ないとは分かっていたけど、なぜか残念な気持ちになる。
そんな気持ちを忘れようと俺はカラオケ店に入ると、中学の時から変わらない、白髪のおじさんが受付に立っていた。
「いらっしゃいませ」
「1人なんですけど、空いてますか?」
「はい。大丈夫です。時間はどうしますか?」
「1時間で」
「学割は?」
「あっ使います」
以前と同じ丁寧な対応に安心しながら俺は生徒手帳を取り出して渡す。
学生だけの特権は今のうちにやっておきたい。
返された生徒手帳を見てそう思った。
「では2階のお部屋です。あとマイク」
「ありがとうございます」
俺はマイクの籠を受け取って2階へ向かおうとする。
しかし途中で足を止めて白髪のおじさんに話しかけた。
「あの、」
「何でしょう?」
「ここのカラオケ店の前で歌っている女性って知ってます?」
「勿論。綺麗な歌声で受付にいながら聴き入ってしまいます。それが何か?」
「えっと、なんで外で歌ってるか知ってますか?」
「さぁ。話したことがないので。ここ周辺は歌う職業を目指している人達が集まって歌の練習をする場所が多いですから、そのような理由じゃないですか?」
「そうなんですか?歌の練習場所とは知らなかったです」
「最近は減って来ていますからね。それにこんな所よりも人が多く通る場所の方が聞いてもらえる人も沢山いますから」
「そうですか…。ありがとうございます」
「いえ。楽しんでってください」
頭を下げてくれるおじさんに対して俺も頭を下げて2階へ向かう。
急に気になってしまった疑問をそのまま口に出したら初めて知るった知識を収穫できた。
まさかアーティスト志望が集まる場所とは何年も住んでいるのに知らなかった。
そうなると鈴木先輩はアーティスト志望になるのだろうか。
カラオケ店の前でamaの曲を歌っていたのも練習のためなのかもしれない。
話題らしきものが増えて俺は嬉しくなる。
先程のまでの残念な気持ちは無くなって今は明日の昼休みが楽しみになって来た。
将来の夢からamaの話に持ち込めば沢山話せるかもしれない。
そんな感じで少々浮かれ気味の俺は階段で少しつまづいた。
それでも楽しみという火は消えることは無かった。
ーーーーーー
部屋に着いた俺は速攻でタブレットを操作してamaの曲をかける。
1人カラオケのいい所は何を歌っても文句を言われない。
例え俺のタイプとは違う曲でも、下手くそでも誰も苦笑いなんてしない。
1人は勇気が必要だけど、勇気を出した後は天国だった。
「例え歌えなくなっても後悔なんてしない〜」
誰かの人生を歌詞にしたamaの曲は辛かった中学時代を思い出す。
それでも嫌な気分にはならなかった。
「どんなに、どんなに、否定されても〜」
久しぶりに歌う快感はいつもの俺を忘れさせてくれる。
別に何かを演じている訳ではないが、本当の自分に戻れる気がした。
「そんな自分が輝いてる〜」
1曲目が終了すると達成感が凄い。
まだ1曲だけど満足感溢れる気持ちになった。
今日2杯目の取って来たドリンクを飲んで2曲目に突入する。
amaメドレーでもいいのだが、1人だとやはり色んな曲を歌いたくなる。
その後も俺はアイドルソングを熱唱して濃い1時間を過ごした。
途中で悟と別れたので1人で道を歩く。
自分の感情で決めつけないと決心したはずなのに、頭の中では正直な自分が否定を続けている。
悶々とする中で1人歩く道のりは遠くて重かった。
俺は分かれ道で止まってスマホを取り出して時間を確認する。
今日は早めに授業が学校が終わって、2時に下校。
3時になる頃にチェーン店から出たので時間が有り余っている。
家に帰って勉強。
と言いたいところだったが、そんな気力は今の俺には無かった。
俺はスマホを閉まって家の方向に向かう道ではなく違う道を選んでまた歩き出す。
古びたカラオケ店がある方向だった。
しばらく歩いて行くと初めて鈴木先輩と会った場所に辿り着く。
今日は鈴木先輩は居なかった。
向かっている時から歌声は聞こえなかったから居ないとは分かっていたけど、なぜか残念な気持ちになる。
そんな気持ちを忘れようと俺はカラオケ店に入ると、中学の時から変わらない、白髪のおじさんが受付に立っていた。
「いらっしゃいませ」
「1人なんですけど、空いてますか?」
「はい。大丈夫です。時間はどうしますか?」
「1時間で」
「学割は?」
「あっ使います」
以前と同じ丁寧な対応に安心しながら俺は生徒手帳を取り出して渡す。
学生だけの特権は今のうちにやっておきたい。
返された生徒手帳を見てそう思った。
「では2階のお部屋です。あとマイク」
「ありがとうございます」
俺はマイクの籠を受け取って2階へ向かおうとする。
しかし途中で足を止めて白髪のおじさんに話しかけた。
「あの、」
「何でしょう?」
「ここのカラオケ店の前で歌っている女性って知ってます?」
「勿論。綺麗な歌声で受付にいながら聴き入ってしまいます。それが何か?」
「えっと、なんで外で歌ってるか知ってますか?」
「さぁ。話したことがないので。ここ周辺は歌う職業を目指している人達が集まって歌の練習をする場所が多いですから、そのような理由じゃないですか?」
「そうなんですか?歌の練習場所とは知らなかったです」
「最近は減って来ていますからね。それにこんな所よりも人が多く通る場所の方が聞いてもらえる人も沢山いますから」
「そうですか…。ありがとうございます」
「いえ。楽しんでってください」
頭を下げてくれるおじさんに対して俺も頭を下げて2階へ向かう。
急に気になってしまった疑問をそのまま口に出したら初めて知るった知識を収穫できた。
まさかアーティスト志望が集まる場所とは何年も住んでいるのに知らなかった。
そうなると鈴木先輩はアーティスト志望になるのだろうか。
カラオケ店の前でamaの曲を歌っていたのも練習のためなのかもしれない。
話題らしきものが増えて俺は嬉しくなる。
先程のまでの残念な気持ちは無くなって今は明日の昼休みが楽しみになって来た。
将来の夢からamaの話に持ち込めば沢山話せるかもしれない。
そんな感じで少々浮かれ気味の俺は階段で少しつまづいた。
それでも楽しみという火は消えることは無かった。
ーーーーーー
部屋に着いた俺は速攻でタブレットを操作してamaの曲をかける。
1人カラオケのいい所は何を歌っても文句を言われない。
例え俺のタイプとは違う曲でも、下手くそでも誰も苦笑いなんてしない。
1人は勇気が必要だけど、勇気を出した後は天国だった。
「例え歌えなくなっても後悔なんてしない〜」
誰かの人生を歌詞にしたamaの曲は辛かった中学時代を思い出す。
それでも嫌な気分にはならなかった。
「どんなに、どんなに、否定されても〜」
久しぶりに歌う快感はいつもの俺を忘れさせてくれる。
別に何かを演じている訳ではないが、本当の自分に戻れる気がした。
「そんな自分が輝いてる〜」
1曲目が終了すると達成感が凄い。
まだ1曲だけど満足感溢れる気持ちになった。
今日2杯目の取って来たドリンクを飲んで2曲目に突入する。
amaメドレーでもいいのだが、1人だとやはり色んな曲を歌いたくなる。
その後も俺はアイドルソングを熱唱して濃い1時間を過ごした。