放課後。
誰もが待ち侘びる時間。
昼休みと放課後はどちらが嬉しいだろう?ランキングを取ったら面白いのに。
そんなくだらないことを考えながら俺は保健室に向かっていた。
途中、1年1組の教室をチラ見するしたが光流の姿はなかったのできっと一目散に部活をする音楽室へ駆け込んだのだろう。
光流は俺が教えたピアノがきっかけで中学高校と吹奏楽部に入っていた。
でも最近はピアノよりも太鼓系に興味を持っているらしい。
教えられる立場でもないのにピアノを教えてしまったのは良いことだったのかと未だに心はモヤモヤしている。
俺は何年もピアノを触っていない。
ここ1年は楽器さえ触らないようにしている。
自然と俺の顔が険しくなっているのを自覚した。
これから先生と先輩に会うのにこんな顔では不審に思われてしまう。
俺は顔をポンポンと叩いて普通になるよう引き締めた。
「失礼します。2年3組の九音ヒロです」
「はーい。どうした?」
「先生、今ちょっと良いですか?」
「うん?ちょっと待って」
保健室の扉を開けると昨日は座っていなかった場所に先生が座っていた。
案の定、先輩は奥の丸テーブルには居なかった。
俺は先生の近くまで進んで立ち止まる。
すると「そこに座っていいよ」と言われて昨日先輩が座っていた場所に腰を下ろした。
「どうした?なんか相談?今生徒誰も居ないから話聞けるよ」
「相談までは行かないのですが…。質問です」
「なになに?」
保健の先生は俺の隣の椅子に座る。
机からわざわざこっちまで来てくれて申し訳なくなってしまう。
そこまで濃い話ではないのだが…。
「昨日3年の女子の先輩来ていませんでしたか?鎖骨くらいの黒髪で身長高めの人」
「ああ!藍子ちゃんね!うん、いるよ」
「えっと、その人の苗字は?」
「鈴木。鈴木藍子ちゃん。でもなんで九音くんが知ってるの?」
「まぁ色々とありまして」
「ふーんなるほど。それで藍子ちゃんの名前を知りたかったの?」
「はい。また話したかったから3年生の教室に行ってみようと思ったんですけど名前を聞いてなかったので」
「あーそっか。でも良かったね。こっちに聞きに来て」
「なんでですか?」
「藍子ちゃんは訳あって教室には行けてないの。毎日保健室で勉強してるのよ。そうだ。私から藍子ちゃんに言ってあげましょうか?藍子ちゃんと話したがっている男の子が居るって。それで藍子ちゃんが会ってくれるなら私が九音くんに報告しに行くから。確認取らないとちょっとね」
「わかりました。先生よろしくお願いします」
「OK!確認取れたら報告するね!」
保健の先生は指で丸を作って俺に見せた。俺は頭を下げてお礼を言うと先生は笑った。
「九音くん礼儀正しいね〜。でもたまには肩の力抜きなさいよ。悩みとかあったらいつでも来なね」
「はい。ありがとうございました」
普通の礼儀をしたのだが何故か心配される俺。
でも、そういう気遣いをしてくれる保健の先生だからこそ生徒に人気なのかもしれない。
俺は立ち上がった後また頭を軽く下げてから保健室を出て行った。
放課後の廊下は生徒達がちらほらいるが、1番目立つのは校庭の野球部の声だろう。
悟も頑張っているんだなと響き渡る雄叫びのような声に耳を傾ける。
俺が野球部のような声を出したらどうなるのだろう。
きっと翌日には声がカラカラになっていると思う。
だからこそ頑張っている人達は凄い。
頑張ってない俺からして尊敬の位置だ。
俺は昇降口に着いて靴を履き替えるとチラッと校庭を見てみた。
どこに悟がいるかわからなかったけど、心の中で「頑張れ」そうメッセージを送った。
誰もが待ち侘びる時間。
昼休みと放課後はどちらが嬉しいだろう?ランキングを取ったら面白いのに。
そんなくだらないことを考えながら俺は保健室に向かっていた。
途中、1年1組の教室をチラ見するしたが光流の姿はなかったのできっと一目散に部活をする音楽室へ駆け込んだのだろう。
光流は俺が教えたピアノがきっかけで中学高校と吹奏楽部に入っていた。
でも最近はピアノよりも太鼓系に興味を持っているらしい。
教えられる立場でもないのにピアノを教えてしまったのは良いことだったのかと未だに心はモヤモヤしている。
俺は何年もピアノを触っていない。
ここ1年は楽器さえ触らないようにしている。
自然と俺の顔が険しくなっているのを自覚した。
これから先生と先輩に会うのにこんな顔では不審に思われてしまう。
俺は顔をポンポンと叩いて普通になるよう引き締めた。
「失礼します。2年3組の九音ヒロです」
「はーい。どうした?」
「先生、今ちょっと良いですか?」
「うん?ちょっと待って」
保健室の扉を開けると昨日は座っていなかった場所に先生が座っていた。
案の定、先輩は奥の丸テーブルには居なかった。
俺は先生の近くまで進んで立ち止まる。
すると「そこに座っていいよ」と言われて昨日先輩が座っていた場所に腰を下ろした。
「どうした?なんか相談?今生徒誰も居ないから話聞けるよ」
「相談までは行かないのですが…。質問です」
「なになに?」
保健の先生は俺の隣の椅子に座る。
机からわざわざこっちまで来てくれて申し訳なくなってしまう。
そこまで濃い話ではないのだが…。
「昨日3年の女子の先輩来ていませんでしたか?鎖骨くらいの黒髪で身長高めの人」
「ああ!藍子ちゃんね!うん、いるよ」
「えっと、その人の苗字は?」
「鈴木。鈴木藍子ちゃん。でもなんで九音くんが知ってるの?」
「まぁ色々とありまして」
「ふーんなるほど。それで藍子ちゃんの名前を知りたかったの?」
「はい。また話したかったから3年生の教室に行ってみようと思ったんですけど名前を聞いてなかったので」
「あーそっか。でも良かったね。こっちに聞きに来て」
「なんでですか?」
「藍子ちゃんは訳あって教室には行けてないの。毎日保健室で勉強してるのよ。そうだ。私から藍子ちゃんに言ってあげましょうか?藍子ちゃんと話したがっている男の子が居るって。それで藍子ちゃんが会ってくれるなら私が九音くんに報告しに行くから。確認取らないとちょっとね」
「わかりました。先生よろしくお願いします」
「OK!確認取れたら報告するね!」
保健の先生は指で丸を作って俺に見せた。俺は頭を下げてお礼を言うと先生は笑った。
「九音くん礼儀正しいね〜。でもたまには肩の力抜きなさいよ。悩みとかあったらいつでも来なね」
「はい。ありがとうございました」
普通の礼儀をしたのだが何故か心配される俺。
でも、そういう気遣いをしてくれる保健の先生だからこそ生徒に人気なのかもしれない。
俺は立ち上がった後また頭を軽く下げてから保健室を出て行った。
放課後の廊下は生徒達がちらほらいるが、1番目立つのは校庭の野球部の声だろう。
悟も頑張っているんだなと響き渡る雄叫びのような声に耳を傾ける。
俺が野球部のような声を出したらどうなるのだろう。
きっと翌日には声がカラカラになっていると思う。
だからこそ頑張っている人達は凄い。
頑張ってない俺からして尊敬の位置だ。
俺は昇降口に着いて靴を履き替えるとチラッと校庭を見てみた。
どこに悟がいるかわからなかったけど、心の中で「頑張れ」そうメッセージを送った。