イヤホンから流れていたエンディングの音楽が消えて無事終了となる。
私は背中を伸ばして一息ついた。
「ちゃんと話せてたよ」
「ありがとう。でも澪の方が流れとかトークもちゃんとしていた」
「そりゃ初めてじゃないもん」
スタッフさんの「お疲れ様です」の声と共に私と澪は立ち上がる。
同時にお辞儀をして挨拶をした。
「鈴木さん良かったですよ。また登場してほしいです」
「ありがとうございます。近いうちにまたゲストとして話したいです」
「ゲストじゃなくてメインでも良いんだよ?」
「メインは澪でしょ」
ラジオのスタッフさんと少しコミュニケーションをとって私達はスタジオを後にする。
今後もご贔屓にしてもらうためには多少の会話が必要だと先輩が言っていたから私達もそれに見習って実践していた。
マネージャーさんと一緒に廊下を歩きながら話す。
「今日藍、レッスンだって思ってたらしいですよ」
「マジで?私間違えて伝えてた?」
「いえ。私が抜けていたんです」
「そっか。ちなみにレッスンは明後日ね。ダンスレッスン」
「ライブですか!?新曲ですか!?」
「澪落ち着いて。後者の方」
「やったーー!」
「だから落ち着け!もう…」
「確かに時期的に次の曲ですよね。楽しみです」
「少しデモ音源聴かせてもらったけど、ピアノの印象が強い曲だったよ」
「なるほど。明後日が待ち遠しい」
「先輩に貰ったレッスン着来て行こう!」
私達の話にも嫌な顔せずに付き合ってくれるマネージャーさん。
澪は明後日のレッスンの服を頭の中で想像していた。
改めて私は人に恵まれている。
するとマネージャーさんは楽屋の前に着くと次のスケジュールの話を始める。
「澪はこれから学校だっけ?」
「レポート出しに行きます!」
「了解。藍子は今日の仕事は終わりだね。明日はオフだからゆっくり休んで」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃあ荷物持ったら送るから下まで来てね」
手を振って一旦私達とマネージャーさんは別れる。
澪と一緒に楽屋に入って荷物をまとめると、簡単な掃除をして部屋を後にした。
「藍ちゃん」
「何急に」
「ラジオで言ってたから。ライブがあったら藍ちゃんうちわ持った人達居るんじゃない?」
「私はそこまで人気じゃないし…」
「何言ってるの!人気じゃなかったらあんなに質問来ないよ」
「実際どれくらい来たんだろうね」
「さぁ?でもいっぱい来てたはずだよ。だって初出演だからね」
「そうだと嬉しいな」
友達さえもろくにいなかった私が誰かと繋がっていることが嬉しく感じる。
本当にアイドルって辛いことだけじゃない。
ファンというかけがえのない繋がりや先輩と同期という同じ時を過ごす第2の家族。
今、人が怖く思わないのもきっとそれ以上の人達がいるからだ。
「ごめん先行ってて。知り合いに連絡しなくちゃいけないから」
「はーい。なるべく早く来てね。私の学校があるんだから」
「わかった。マネージャーさんにも言って。すぐ行くから」
澪を先に入り口に行かせて私は側にある自販機の横のベンチに座る。
バッグからスマホを取り出すとメッセージアプリを開いた。
迷わず九音ヒロと表示されるトーク欄を出す。
【ヒロくんこんにちは。今日はラジオ初収録でした。来週の月曜日に放送される予定だから時間があったら聴いてみてね。後でURL送るから。
ヒロくん、私ね。今生きてる人生間違ってなかったと思ってる。その立役者のヒロくんとまたお喋りしたいな。連絡待ってるね】
少し長い文章を打つと送信ボタンを躊躇わずに押した。
送ってから誤字脱字ないかを確認する。
順序的には逆なのだが。
私は文章を一回読んだ後メッセージアプリを閉じた。
この前送った文字も、その前に送った写真も、初めての電話も、既読は付いていない。
スマホをバッグに入れてベンチから離れた。
明日はオフだ。
部屋の掃除や洗濯をしなくてはいけない。
久しぶりに家族とテレビ通話でもしようかな。
私は忙しい毎日に生きがいを感じながら、今日も前に進んだ。
私は背中を伸ばして一息ついた。
「ちゃんと話せてたよ」
「ありがとう。でも澪の方が流れとかトークもちゃんとしていた」
「そりゃ初めてじゃないもん」
スタッフさんの「お疲れ様です」の声と共に私と澪は立ち上がる。
同時にお辞儀をして挨拶をした。
「鈴木さん良かったですよ。また登場してほしいです」
「ありがとうございます。近いうちにまたゲストとして話したいです」
「ゲストじゃなくてメインでも良いんだよ?」
「メインは澪でしょ」
ラジオのスタッフさんと少しコミュニケーションをとって私達はスタジオを後にする。
今後もご贔屓にしてもらうためには多少の会話が必要だと先輩が言っていたから私達もそれに見習って実践していた。
マネージャーさんと一緒に廊下を歩きながら話す。
「今日藍、レッスンだって思ってたらしいですよ」
「マジで?私間違えて伝えてた?」
「いえ。私が抜けていたんです」
「そっか。ちなみにレッスンは明後日ね。ダンスレッスン」
「ライブですか!?新曲ですか!?」
「澪落ち着いて。後者の方」
「やったーー!」
「だから落ち着け!もう…」
「確かに時期的に次の曲ですよね。楽しみです」
「少しデモ音源聴かせてもらったけど、ピアノの印象が強い曲だったよ」
「なるほど。明後日が待ち遠しい」
「先輩に貰ったレッスン着来て行こう!」
私達の話にも嫌な顔せずに付き合ってくれるマネージャーさん。
澪は明後日のレッスンの服を頭の中で想像していた。
改めて私は人に恵まれている。
するとマネージャーさんは楽屋の前に着くと次のスケジュールの話を始める。
「澪はこれから学校だっけ?」
「レポート出しに行きます!」
「了解。藍子は今日の仕事は終わりだね。明日はオフだからゆっくり休んで」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃあ荷物持ったら送るから下まで来てね」
手を振って一旦私達とマネージャーさんは別れる。
澪と一緒に楽屋に入って荷物をまとめると、簡単な掃除をして部屋を後にした。
「藍ちゃん」
「何急に」
「ラジオで言ってたから。ライブがあったら藍ちゃんうちわ持った人達居るんじゃない?」
「私はそこまで人気じゃないし…」
「何言ってるの!人気じゃなかったらあんなに質問来ないよ」
「実際どれくらい来たんだろうね」
「さぁ?でもいっぱい来てたはずだよ。だって初出演だからね」
「そうだと嬉しいな」
友達さえもろくにいなかった私が誰かと繋がっていることが嬉しく感じる。
本当にアイドルって辛いことだけじゃない。
ファンというかけがえのない繋がりや先輩と同期という同じ時を過ごす第2の家族。
今、人が怖く思わないのもきっとそれ以上の人達がいるからだ。
「ごめん先行ってて。知り合いに連絡しなくちゃいけないから」
「はーい。なるべく早く来てね。私の学校があるんだから」
「わかった。マネージャーさんにも言って。すぐ行くから」
澪を先に入り口に行かせて私は側にある自販機の横のベンチに座る。
バッグからスマホを取り出すとメッセージアプリを開いた。
迷わず九音ヒロと表示されるトーク欄を出す。
【ヒロくんこんにちは。今日はラジオ初収録でした。来週の月曜日に放送される予定だから時間があったら聴いてみてね。後でURL送るから。
ヒロくん、私ね。今生きてる人生間違ってなかったと思ってる。その立役者のヒロくんとまたお喋りしたいな。連絡待ってるね】
少し長い文章を打つと送信ボタンを躊躇わずに押した。
送ってから誤字脱字ないかを確認する。
順序的には逆なのだが。
私は文章を一回読んだ後メッセージアプリを閉じた。
この前送った文字も、その前に送った写真も、初めての電話も、既読は付いていない。
スマホをバッグに入れてベンチから離れた。
明日はオフだ。
部屋の掃除や洗濯をしなくてはいけない。
久しぶりに家族とテレビ通話でもしようかな。
私は忙しい毎日に生きがいを感じながら、今日も前に進んだ。