「藍子先輩居ますか!」
「ひゃっ!」
綺麗な黒髪が流れ落ちる肩が跳ね上がる。
「やばい、驚かせてしまった」と思いながらも俺の足は先輩に向かって歩いていた。
「ヒロくん?今日は来ないのかと…」
「遅くなってすみません。遠慮してしまいました」
「遠慮?」
「先輩、俺に会いたくないだろうなって思って。昨日のことを思い出してしまうかなって…」
俺がそう言うと先輩は少し俯いた。
流石に全く気にしてないことないよな。
夢を壊すような発言されたのだから。
俺は少しだけ母親に怒りが湧く。
でも表情に出ないよう気を付けた。
先輩をこれ以上怖がらせたくないから。
「うん。確かにそうかもしれない」
「ですよね…」
「でも!でも、私はヒロくんとお喋りしたかった…」
先輩は控えめに顔を上げて俺を見た。
潤んだ瞳にはしっかりと俺の顔が映ってる。
なんだろう。
心臓が痛い。
でも俺はそれに耐えて先輩の顔を見て話す。
きっと今俺の瞳には先輩が映っているだろう。
俺はそれが嬉しかった。
「先輩。俺は先輩が進む道を応援します。アイドルでもアイドルでなくても。母さんは今の先輩しか見ていない。でも俺はわかります。先輩は進めるって」
「ヒロくん…」
「見守るという約束は守ります。ただ少し変化させてください。俺は藍子先輩を見守り、支えます。これが俺の答えです」
俺が言い終わった瞬間、先輩の目からは雫が溢れた。
泣かせてしまったことには変わりない。
俺は慌てて保健の先生の机からティッシュを取り先輩に渡す。
受け取った先輩は目にティッシュを当てた。
前もこんなことあったよなと思い返す。
あの時は咄嗟に背中を摩ったんだっけ。
俺はまた優しく背中を摩った。
精一杯の言葉と、俺の想いを込めて。
先輩が肩を震わせながら泣いて、俺がそれを支えるように寄り添っていると保健室の扉が開いた。
「あっ」
保健の先生が1秒フリーズしたと思ったらすぐさま俺に手招きする。
藍子先輩も先生の存在に気付いたようで少し顔を下げた。
「先輩少しすみません」
俺は保健の先生の元へと向かう。
先生が扉を開けると俺を廊下に出して、先生も保健室から出た。
「どういう状況?」
「簡単に話すのは難しいし、内容は秘密なので…」
「そっかそっか。とりあえずヤバい状況ではないってこと?」
「はい。今は感極まっているっていうか」
「わかった。で?どうする?」
「何がですか?」
「早退する?」
「え?」
普通に早退を進めてくる保健の先生。
別に俺はどこも悪くない。
すると察せよと言わんばかりに肩を軽く叩いた。
「早退して藍子ちゃんの側にいるか。授業受けるために離れるか」
「その聞き方はずるいですよ…」
「私は藍子ちゃんのことが心配なの。あの子の性格上自分を出すことは出来ないし、誰にでも遠慮するから。でも九音くんには違うように感じるな」
「……早退します」
「よし。荷物担任の先生に持ってきてもらうか。念のためベッドで寝てて。熱が出たって言うから話合わせてね」
「はい」
本当に先生なのだろうか。
何故かこの状況に1番ウキウキとしている。
保健の先生の後に続いて部屋に入ると、先輩は完全に泣き止んではなかった。
「藍子ちゃんはひとまずベッドへ避難。カーテン仕切るから思う存分泣いておいで。九音くん。貴方は病人よ。熱は37.4くらいでいいか。九音くんはそっちのベッドね」
俺は先生の言葉に従うけど、何も聞かされていない藍子先輩は状況がわからない。
とりあえず俺は先輩に目を合わせて頷くと先輩は不思議に思いながらもベッドの方へ行ってカーテンを閉めた。
「それじゃあ寝てて。今担任の先生に言うから」
俺もシューズを脱いでベッドへ横になる。
隣のベッド方から聞こえる啜り泣く声を聞いていると胸が締め付けられる。
本当なら今この瞬間も側にいてあげたい。
一言、声をかけようとする。
しかし俺は廊下を歩く担任と保健の先生の声が近くなるのを感じてグッと堪えた。
「ひゃっ!」
綺麗な黒髪が流れ落ちる肩が跳ね上がる。
「やばい、驚かせてしまった」と思いながらも俺の足は先輩に向かって歩いていた。
「ヒロくん?今日は来ないのかと…」
「遅くなってすみません。遠慮してしまいました」
「遠慮?」
「先輩、俺に会いたくないだろうなって思って。昨日のことを思い出してしまうかなって…」
俺がそう言うと先輩は少し俯いた。
流石に全く気にしてないことないよな。
夢を壊すような発言されたのだから。
俺は少しだけ母親に怒りが湧く。
でも表情に出ないよう気を付けた。
先輩をこれ以上怖がらせたくないから。
「うん。確かにそうかもしれない」
「ですよね…」
「でも!でも、私はヒロくんとお喋りしたかった…」
先輩は控えめに顔を上げて俺を見た。
潤んだ瞳にはしっかりと俺の顔が映ってる。
なんだろう。
心臓が痛い。
でも俺はそれに耐えて先輩の顔を見て話す。
きっと今俺の瞳には先輩が映っているだろう。
俺はそれが嬉しかった。
「先輩。俺は先輩が進む道を応援します。アイドルでもアイドルでなくても。母さんは今の先輩しか見ていない。でも俺はわかります。先輩は進めるって」
「ヒロくん…」
「見守るという約束は守ります。ただ少し変化させてください。俺は藍子先輩を見守り、支えます。これが俺の答えです」
俺が言い終わった瞬間、先輩の目からは雫が溢れた。
泣かせてしまったことには変わりない。
俺は慌てて保健の先生の机からティッシュを取り先輩に渡す。
受け取った先輩は目にティッシュを当てた。
前もこんなことあったよなと思い返す。
あの時は咄嗟に背中を摩ったんだっけ。
俺はまた優しく背中を摩った。
精一杯の言葉と、俺の想いを込めて。
先輩が肩を震わせながら泣いて、俺がそれを支えるように寄り添っていると保健室の扉が開いた。
「あっ」
保健の先生が1秒フリーズしたと思ったらすぐさま俺に手招きする。
藍子先輩も先生の存在に気付いたようで少し顔を下げた。
「先輩少しすみません」
俺は保健の先生の元へと向かう。
先生が扉を開けると俺を廊下に出して、先生も保健室から出た。
「どういう状況?」
「簡単に話すのは難しいし、内容は秘密なので…」
「そっかそっか。とりあえずヤバい状況ではないってこと?」
「はい。今は感極まっているっていうか」
「わかった。で?どうする?」
「何がですか?」
「早退する?」
「え?」
普通に早退を進めてくる保健の先生。
別に俺はどこも悪くない。
すると察せよと言わんばかりに肩を軽く叩いた。
「早退して藍子ちゃんの側にいるか。授業受けるために離れるか」
「その聞き方はずるいですよ…」
「私は藍子ちゃんのことが心配なの。あの子の性格上自分を出すことは出来ないし、誰にでも遠慮するから。でも九音くんには違うように感じるな」
「……早退します」
「よし。荷物担任の先生に持ってきてもらうか。念のためベッドで寝てて。熱が出たって言うから話合わせてね」
「はい」
本当に先生なのだろうか。
何故かこの状況に1番ウキウキとしている。
保健の先生の後に続いて部屋に入ると、先輩は完全に泣き止んではなかった。
「藍子ちゃんはひとまずベッドへ避難。カーテン仕切るから思う存分泣いておいで。九音くん。貴方は病人よ。熱は37.4くらいでいいか。九音くんはそっちのベッドね」
俺は先生の言葉に従うけど、何も聞かされていない藍子先輩は状況がわからない。
とりあえず俺は先輩に目を合わせて頷くと先輩は不思議に思いながらもベッドの方へ行ってカーテンを閉めた。
「それじゃあ寝てて。今担任の先生に言うから」
俺もシューズを脱いでベッドへ横になる。
隣のベッド方から聞こえる啜り泣く声を聞いていると胸が締め付けられる。
本当なら今この瞬間も側にいてあげたい。
一言、声をかけようとする。
しかし俺は廊下を歩く担任と保健の先生の声が近くなるのを感じてグッと堪えた。