その夜、大樹はまくらに顔をうずめた状態で何時間も考えた。


兄が言う通り自分がしていることは間違っているんだろうか。


神の領域に踏み込んでしまっているんだろうか。


でもそれをいい出したらきりがない。


単純に誰かを助けたいという気持ちで行動してはダメなんだろうか。


「俺は、この力を悪いことに使ってるわけじゃない」


両手を見つめてつぶやく。


誰にも言えない力。


特別に与えられた力。


だからこそ、使い方を間違えたら恐ろしいことになる。


兄はそれを懸念しているのかもしれない。


大樹が足を踏み外してしまわないように、釘を指しているのかもしれない。


大樹はまた拳をつくり、キツク目を閉じたのだった。