そこまで言って次の言葉が出てこなくなった。


今日は大樹にすべてを打ち明けるつもりでここにきた。


余命宣告を受けていること。


残りの命はわずか2ヶ月半であること。


覚悟を決めてきたはずなのに、次の言葉が出てこない。


沈黙が訪れて、ふたりの息遣いだけが聞こえてくる。


言わなきゃ。


ちゃんと言って、それでも好きだと思ってくれるのかどうか、確認しなきゃ。


それが大樹のためにもなるし、自分のためにもなるとわかっている。


けれど、余命宣告のことはまだ萌の口からは誰にも告げられていないことだった。


一番に伝えるつもりでいた希にだって、まだ言えていない。


そんな中で大樹に伝える勇気がまだなかったのだ。


自分の不甲斐なさにうつむいてしまいそうになったとき、大樹の両手が萌の体を抱きしめていた。


ギュッときつく抱きしめられると心音が相手にまで伝わってしまいそうだ。


「大丈夫。俺はなにがあっても萌のことが好きだって断言する」


「大樹……」


そんなのはなにも知らないから言えることだ。


事実を知れば大樹は離れていくかもしれない。