大樹と彼氏彼女として合うのはこれが初めてだった。


専攻が違うとなかなか学校内で顔を合わせることも少ないのだ。


「よかった」


ポンッと自然と頭にのせられた手に心臓が跳ねる。


ドキドキと早鐘を打ちはじめるのを悟られないようするため、視線をそらした。


「顔真っ赤」


ぽつりとつぶやかれた言葉でごまかしきれていないことがわかった。


「し、仕方ないでしょ。それより、本当に私でいいの?」


今日ここに大樹を呼び出したのは再確認するためだった。


お互いにお互いのことが好きなことはもうわかっている。


だけど、大樹はきっと病気の自分と付き合う大変さについてはわかっていない。


「俺は萌がいいんだよ?」


「でも私、もう2度も学校で倒れたんだよ? これから先だって、わからないんだよ?」


いいながら、つい早口になってしまう。


だけど大樹にはちゃんと現実を受け止めて、その上で決断してほしかった。


自分と付き合うことで大樹はきっといろいろなものを失うことになる。


「それはもう知ってる。体が弱いくらいのこと、俺は気にしない」


「でも、私は――」