きっと、大樹が隣にいてくれたおかげだ。


「そっか。じゃあ、俺は学校に帰るけど、またなにかあったらすぐに連絡しろよ?」


大樹の言葉に萌は素直に頷いた。


こうして一緒にいてくれる人がいることは心強い。


両親への負担も少しは軽くなるかもしれないし、素直に甘えることにした。


「じゃあ、また来るから」


立ち上がった大樹が身を屈めてきた。


え? と思った次の瞬間には唇に柔らか感触を受けて、そして離れていっていた。


萌が呆然としている間に、顔を真っ赤にした大樹が「じゃ」と片手を上げて病室を出ていったのだった。