「怖いなんてもんじゃないって。小学校の頃テストで0点を取ったときなんて、1日中外に立たされたんだぞ」


そう言って思い出し笑いをする大樹。


つられて萌も笑っていた。


体は重たいし、呼吸も苦しいのに、笑うだけの元気を大樹からもらえた気がした。


「そう……なんだ。でもきっと……大樹のため、だったんだね」


「そうかぁ? まぁその後絶対に0点は撮らないって決めて、勉強し始めたけどなぁ」


「やっぱり……大樹のため……だったんだよ」


萌の言葉に大樹は照れくさそうに鼻の頭をかいた。


萌は頭を巡らせて窓の外を見ると、太陽が随分真上まで上がってきていることがわかった。


もう昼休憩も終わったころかもしれない。


「大樹……。私はもう大丈夫だから、学校、戻って?」


「でも……」


「ほら、もうこんなに元気」


少し無理をして右手を上げてピースサインを作った。


本当はまだまだ体が重たく感じられていたけれど、目覚めたときよりもマシになっていることは事実だった。