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担任の先生には父親から連絡を入れてもらった。


事情はすべて説明して、万が一学校で倒れたときのために担当医の連絡先も教えた。


「これで、少しは安心かな」


電話を切った父親は少し疲れた表情で微笑んだ。


本当はもっと別なところで努力をしたかったはずだ。


例えば病気が治る方法を調べたりとか、奇跡的に治った人がいないか聞きに行ったりとか。


だけど今はまだ誰の頭の中も真っ白で、目の前のしなければならないことをすることで精一杯だった。


そうして家族にとって真っ白な時間が過ぎていったとき、ふとスマホを確認していないことを思い出した。


目が覚めてから丸1日以上経過しているから、誰かからメッセージでも届いているかもしれない。


そう思って確認してみると、思っていた通り大樹からのメッセージが来ていた。


萌が倒れたことはすでに学校でも知れ渡っているようで、心配してくれている。


《大樹:体大丈夫か? 落ち着いたら連絡ください》


《大樹:連絡ないけど、本当に大丈夫? なにかあった?》


それ以降も大樹からのメッセージは3件ほど続いていた。