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自分の余命はあと3ヶ月だと言われたとき、人はどうするだろう?


萌は呆然としながらも父親の運転する車の後部座席に乗って帰宅していた。


本当はそのまま入院することもできたのだけれど、ギリギリまで学校に通いたいと先生と相談したのだ。


その結果、無理をしない範囲でなら通学を続けてもいいということになった。


ただし、病気は確実に悪化していく覚悟をしておくことと、言い渡された。


最後の日まで元気に通学することは不可能だということだ。


必ずどこかのタイミングで学校にはいけなくなり、入院する必要があるらしい。


それくらいのこと理解していたつもりだったけれど、いざ自分がそう言い渡されるとなんともいい難い感情に包まれた。


「私、本当に死ぬのかな」


帰宅後明日の学校の準備をしながらふと呟いた。


それを聞いた両親が動きを止めてこちらを見つめる。


ふたりともひどく青白い顔をしていて、今にも倒れてしまいそうだ。


萌はそんなふたりに笑いかけた。


「ごめん、今のは忘れて」


そう伝えて、再び準備にとりかかったのだった。