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萌がベッドで座っているとドアをノックする音が響いてスーツ姿の女性が何人か入ってきた。


それぞれの手には大きな荷物が持たれている。


その人達はせわしなく部屋の中を動き回り、そして萌の方へ視線を向けた。


「あら、可愛らしい花嫁さんね」


誰かがそう言って微笑みかけてくる。


花嫁さん？


誰のことだろうとキョロキョロとまわりを見回すけれど、ここは個室で、今は自分と母親のふたりしかいない。


ということは、花嫁さんというのは自分のことだろうか？


萌がそう考えている間にベッドの上に真っ白なウエディングドレスが置かれていた。


「ほら、これがあなたのドレスよ」


「私の……？」


驚いて母親を見ると、母親は目を赤くして涙を堪えながら何度も頷いた。


「用意ができましたらまたお呼びします」


スーツ姿の女性は母親へ向けてそう言ったのだった。