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次の休日は希を誘って萌の家にやってきていた。


病室で言われたあの言葉を思い出して、実際に萌の絵を見たくなったのだ。


「来てくれてありがとう。どうぞ」


家の中は綺麗に整頓されていたが、どこか寒々しさを感じた。


主がいなくなって家を汚す人間がいないから綺麗なまま存在しているような、そんな感じだ。


「萌の部屋はこっちよ」


母親に案内されて通された部屋は6畳のフローリングだった。


薄いブルーのカーテンに白色の家具、花柄のベッドの上には大きなぬいぐるみがあり、可愛らしい。


でも一番気になったのは足を踏み入れたときから感じている絵の具の匂いだった。


部屋の隅にはキャンバスが置かれていて、その横の棚には絵の具のパレットが出したままになっている。


今にもそこに萌が立って絵の続きをかき出しそうだった。


「これが萌の絵か……」


萌の絵をこうしてちゃんと見たのは初めてのことだった。


頭の中にあるファンタジックな絵をそのまま描くのだと言っていたけれど、色使いも面白くてつい見入ってしまう絵だった。


「この真中のはなんだろう?」


希がキャンバスの真ん中を指差して言った。


そこにはポッカリと穴が開いたような空間があり、ふたりの人物が立っているのがわかる。


ふたりとも白い服を着ているが、それがなにを描いていたのかまではわからなかった。


「それはきっと、自分と大樹くんを描いていたんだと思うの」


後から萌の母親に言われて大樹はハッと息を飲んだ。