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翌日は学校があったけれど、大樹は朝起きて一番の萌のお見舞いへ向かった。


「こんな時間にどうしたの?」


驚く萌に「学校に行くまでに時間があるから会いにきた」と言うと、萌は呆れたような、嬉しそうな笑顔を浮かべてくれた。


一晩考えた結果、今の自分が萌にできることはできるだけ一緒にいる時間をつくることだった。


そうすることで少しでも萌に元気になってほしかった。


学校が終わった後も、大樹はすぐに病院へ向かった。


「部活はどうしたの?」


少し怒った口調で萌がそう聞いてきたけれど、幸いにも今日は部活が休みの日だったのだ。


それを聞いた萌は安心したように微笑んだ。


自分のせいで誰かが生活を犠牲にしていのが辛いのかもしれない。


時には誰も病室にいないときにふたりはキスをした。


けれどその前にかならず萌は「誰も泣かせるようなことをしてないよね?」と、念入りに質問してきた。


そのため大樹は簡単には萌に他の人の命を移すことができなくなっていた。


命を移せばすぐに体調がよくなる。


そのことに萌が気が付かないわけがなかったから。


「なぁ、萌。もう1度だけ力を使わせてほしい」


力を使わなくなった途端、萌の体は見る見るやせ細っていった。


それは見ているのも辛くなる有様で、つい大樹はそんなことを言ってしまった。


ベッドの上で横たわる萌は左右に首をふり「もう誰も傷つけないで。これが私の人生なんだから」と、キッパリと答えた。


そんな日が続いたある日のことだった。


病室を出たところでちょうど萌の母親が着替えを持ってやってきた。