自分とは性は安泰なタイプに愕然とし、同時に大樹への不信感が一気に膨れ上がる。


「ご、ごめんなさい」


か弱い声で萌はつぶやく。


「あんたが別れてくれればいいだけなんだけど!?」


「でも、私はっ……」


言い返そうとしたけれど、できなかった。


ここで大樹のことを縛り付けてもいいのかどうか、わからない。


自分が大樹と別れたほうがきっとこの子は幸せになる。


でも、別れたから大樹の浮気グセが治るとも思えない。


「ちょっと、なにか言ったらどうなの!? 大樹くんから別れ話を聞いてるんでしょ!?」


詰め寄られて、萌は左右に首を降っていた。


大樹からそんな話しは聞いていない。


逆に、萌の方から大樹と距離を置いていたくらいだ。


萌がそのことを説明すると、最初は信じていなかった女子生徒も徐々に言葉を信じてくれて、なにも言わずにトイレから出ていった。


その後姿を見送った萌はその場に崩れ落ちるように座り込んでしまったのだった。